数年前の本紙企画で「津軽ひろさき食堂巡り」というものがあった。何本か担当したが、主に個人経営の食堂を中心に取材し、成り立ちや特徴、人気のメニューなどを取り上げた▼店の宣伝にもなるので、取材交渉は簡単だろうと高をくくっていたが、実際はそうでもなかった。繁盛店で「これ以上宣伝しても」といった理由で断る店はともかく、切なくなるのが「年も取って後継者もいないので取り上げられても」と言われた時▼「おいしくて、安いものを、腹いっぱい食べてもらいたい」。良心的な経営を心掛けようとすると、結局は自分や家族がきつい仕事を強いられることになる。外食チェーン全盛の今、個人経営の飲食店の苦境は想像がつく▼街を歩けば、この店も、あの店も、昔はうまかったと思う所にシャッターが下りている。残念と思うと同時に、自分もご無沙汰だったと反省しきりだ▼黒石支社に赴任し、2年目となったが、津軽南地域には、こうした昔ながらの“味な店”がことのほか多い。いつまでも続いてほしいと願うし、これまでの反省を踏まえ、積極的に利用したいと思っている。