黒石市産のコメは「黒石米」と呼ばれることがある。かつて北海道函館市と周辺で人気があった「内地米」だった▼知られるようになったのは戦後という。青函連絡船で函館に渡ったコメが朝市などで売られ、価格の割に食味が良い―とすし店で重宝された▼農協は生協を中心に首都圏への売り込みにも力を入れ、1960年代から70年代にかけてピークに。しかし次第に消費者の低価格・ブランド志向に合わなくなった。農協から黒石米を冠した商品も出たが、2008年に姿を消した▼「函館市役所で若い職員にも課長にも『黒石米知りませんよ』と言われた」。研修で同市を訪れた黒石市議が、議場で驚きの体験を告白した。良食味米と自負してきた黒石米が忘れ去られていたからだ▼食味ランキングで最高位に当たる「特A」評価を得た品種を持たないのは東北地方で本県だけ。努力が評価に結び付かないことがやり切れない思いにつながる▼県産米から特Aを出そうと、各地で取り組みは進む。地区を限定した独自ブランドの復活が難しいならば、全体のレベルアップに向けた各機関のサポートが強化されていい。