津軽地方で3日、本県初となる線状降水帯が発生、各地で記録的な大雨となり、被害が相次いだ。近年は温暖化の影響で、全国各地で線状降水帯が発生し多大な被害をもたらしているが、今回は本県も例外ではないことを経験した。猛烈な雨に命の危険を感じた人もいただろう。防災に日ごろから備えておくことの大切さや、万一の際の行動を改めて確認する機会にしたい。
 線状降水帯は、発達した雨雲が帯状に連なり、ほぼ同じ場所に数時間にわたって大雨をもたらす現象だ。青森地方気象台によると、深浦町と平川市碇ケ関、温川両地区で24時間降水量が観測史上1位を更新した。
 県内では津軽地方にとどまらず広範に被害が発生した。住宅の半壊や浸水、リンゴ園や農業ハウスの冠水、土砂崩れや道路の通行止めが相次いだ。鉄道は運休のほか、今別町の北海道新幹線奥津軽いまべつ駅1階部分が浸水するなど、影響は多方面に及んだ。救助事案はあったが、人的被害がなかったのは不幸中の幸いだろう。
 河川が氾濫危険水位を超えたり、土砂災害の危険が高まったりしたことで、県内20市町村の約2万6000世帯、約7万7500人に避難指示が出された。津軽地方でも、5段階の警戒レベルのうち3~4相当として、弘前、黒石、平川、五所川原、大鰐などの各自治体は危険区域を対象に、高齢者や住民に避難を呼び掛けた。
 大雨に限らず、地震や台風への対応として、何よりも大切なのは速やかな避難である。災害が迫っているときに、過小評価や楽観視して「まだ大丈夫」と思い込もうとする傾向がある。あるいは「近所はまだ避難していないから」との理由で動かないこともある。これらの先入観や憶測は命の危険につながるものだ。まずは安全な場所へ避難することを最優先したい。一人ひとりの迅速な行動が多くの命を救うことになる。
 線状降水帯は、数時間にわたり猛烈な雨が降り続く。このため雨が弱まってから避難しようとしても、すでに災害の危険性が高まっている可能性がある。避難のタイミングを逸し、屋外への移動がかえって危険な場合は、家の中の安全な場所として2階や斜面から離れた部屋に移るのが最善だ。日常できることとして、避難場所を把握し、ルートに危険箇所がないか、確認しながら歩いてみることも試しておこう。
 昨年8月には県内でも下北地方で集落が一時孤立した大雨被害があった。今回の線状降水帯では、秋田や山形、新潟、石川の各県でも大きな被害が出ている。災害は時と場所を選ばない。線状降水帯もいまだ正確な発生予測が難しいものであり、防災に対する意識を変えていく必要がある。生活を一変させるような大雨被害がいつでも起こり得ることを念頭に、日ごろから備えておきたい。