任期満了に伴う平川市長選は、現職の長尾忠行氏が無投票で3選を果たした。長尾氏は「(無投票当選は)これまでの行政が認められたためと考えるが、100点というわけではない。市民の声を聞き、議会と対話を重ねて取り組んでいきたい」と当選後に自身の決意を語っている。少子高齢化の進展や昨年より世界を席巻するコロナ禍と、地方をめぐる社会情勢はなお一層、厳しさを増しているが、長尾市長においては、これまでに育てたさまざまな「果実」をしっかりと収穫すると同時に、今後の市勢発展に向け、新たな種まきにまい進してもらいたい。
 長尾氏は1期目策定の第2次長期総合プランに基づき「平川らしさ」の実現に向けた「子育てしやすさナンバーワン」のまち、など7項目のまちづくり推進を公約に掲げ、2018年に再選。公約、プランを基に2期目の市政運営を進めてきた。
 合併特例債や緊急防災・減災事業債を活用した大型建設事業では、防災機能を備えた新体育館「ひらかわドリームアリーナ」を完成させ、今秋ごろには、市役所の新庁舎も供用を開始する見通し。このほか、道の駅いかりがせきの改修事業や市内小中学校の改築事業などを積極的に進めてきた。
 市のスポーツ・健康増進・防災の拠点としての役割が期待されるひらかわドリームアリーナに、分散していた市役所機能を集約して利便性が高まる市役所新庁舎。他の建設事業も含め、これからの平川市の発展を担う土台づくりは、財源的に有利な国の制度をうまく活用しながら整備してきた印象がある。今後は、こうした“整えられた器”にどのような中身を注いでいくか、長尾氏の手腕が試されるところだろう。
 そうした中身の部分、ソフト事業に関して長尾市政はこれまで、市の定住促進や出生率の向上を目的に、子育て世帯の住宅建設費補助や保育所などの副食費無償化といった取り組みを実施し、成果を上げてきた。
 面白いのは若者の人材育成として、実際に市に事業を提案する「ユース議会」を結成したことで、参加した若者の発案により、市内飲食店のパンフレット作りやアートイベントの取り組みが既に予算化されている。定住や子育て支援により、市政への関心が高まった若者層を、このように市政参画の場に取り込むことができれば、新しい視点や感覚を平川市の未来の街づくりに生かすことが可能だろう。同時に平川市の将来を担う人材育成の面でも効果が期待できるのではないか。
 本紙が聞いた市民の声では、移住や子育て対策などで長尾氏の手腕を高く評価する声が聞かれた一方、平賀、尾上、碇ケ関の3地域の均衡ある発展については、注文も付いた。26年に合併20周年の節目を迎える平川市。長尾氏の今後のかじ取りに注目していきたい。