1月の訪日外国人数(推計値)が、前年同月比1・1%減、実数にして約3万人減の266万1000人となったことが日本政府観光局(JNTO)のまとめで分かった。4カ月連続で前年同月を下回る結果で、日韓関係の悪化を背景とした韓国人客の落ち込みが響いているほか、新型肺炎の拡大が今後、世界各地からの訪日客減少を加速させるとの懸念もあるという。JNTOは今後、市場動向を綿密に分析しつつ、訪日旅行の推進に取り組んでいくといい、今後どのような対策を打ち出していくのか注視する必要があろう。
 主な内訳は、韓国が前年1月の77万9383人から今年1月は31万6800人と、率にして59・4%もの落ち込みとなった。ただ、このほかにマイナスとなったのはドイツの前年同月比1・4%減のみ。中国は同22・6%増の92万4800人、台湾は同19・0%増の46万1200人、香港が同42・2%増の21万9400人と中華圏を中心に高い伸びを示しているほか、東南アジア圏も伸び率が同10~40%台と大幅な増加を見せている。この結果、韓国とドイツを除く17市場では1月として過去最高値を記録した。
 中国の場合、大型連休に当たる春節(旧正月)の時期が前年より早くなったことから、1月に訪日が集中した影響という。台湾も同様に春節時期の前倒しや地方への新規就航と増便、チャーター機運航が訪日客増加を後押しし、東南アジア圏の伸びも新規就航や訪日プロモーション活動の成果によるものとみられる。
 しかし、懸念されるのは2月以降の動向であろう。中国政府は新型肺炎の流行を受けて、1月27日から海外への団体旅行を禁止しており、今月以降影響が大きくなる見通しだ。このほか、日本国内での新型肺炎拡大により訪日需要も落ちているといい、訪日客数全体の落ち込みは避けられず、地域の観光業に与える影響も大きいと予測される。
 政府は2020年の訪日客数の目標を4000万人と掲げているが、こうした情勢を鑑みた場合、困難と言わざるを得ないだろう。新型肺炎の流行は想定外としても、韓国のように外交問題のこじれから来る訪日客数の減少は、過去の経緯からみても想定内として考えていく必要があったはずだ。九州・対馬のように韓国からの観光客にほぼ依存しているような地域は、悲鳴を上げている状態という。「訪日客数は韓国からは減っても、他の地域からは増えている」というような楽観視は避けるべきだろう。
 今後の見通しに不安要素が多数ある中で、綿密な分析と訪日観光の積極的な呼び掛けはもちろん必要だが、同時に外交問題や感染症の流行といった現状に関しては、観光に関する危機管理能力を高める機会と受け止め、官民共に訪日客増に向けた取り組みを進めてほしい。