2020年度に始まる大学入学共通テストに関し、英語民間試験と国語・数学の記述式問題の導入見送りを受けて、大学入試改革の在り方を改めて議論する文部科学省の検討会議の初会合が開かれた。委員には共通テストと各大学の個別試験の役割を整理し、受験生が安心して受けられる公平な制度の実現に向けて知恵を絞ってほしい。国がこれ以上、受験生を振り回す事態は避けなければならない。
 検討会議では、見送りとなった経緯も検証する。委員の意見にもあった通り当然、徹底した検証が必要だ。
 文科省が昨年末に公開した、入試改革に関する二つの有識者会議(非公開)の議事録では、昨年9月段階でなお、英語民間試験導入について委員から受験機会の格差などを理由に延期を含めた制度の見直しを求める意見や、「見切り発車」を懸念する意見が上がっていたことが明らかになっている。民間試験の実施団体からは、「全ての不安要素を100%排除するのはかなり難しい」との見解も示されていた。
 問題点を把握しながら、実施ありきで準備を進めてきた同省の、前のめりとも言える姿勢が、混乱の根本になかっただろうか。
 混乱を生じさせた当事者が設けた検討会議で、どこまで自らの問題と責任の所在を冷静に追及できるか、疑問は残る。萩生田光一文科相は昨年12月に記述式問題見送りを正式に発表した際、検討会議について「まっさらな状態から対応したい」と発言していた。言葉通り貫徹されることを望む。
 大学入試改革は、高校教育で育成が求められる思考力、判断力、表現力の評価を狙いの一つとしていた。英語の4技能「読む・聞く・話す・書く」の評価もその一つ。それらを重視する姿勢自体が間違っているとは言えないだろう。
 しかし、英語民間試験に関しては経済状況や居住地域といった格差、記述式問題については採点ミス、実際の採点と受験生による自己採点との食い違いといった問題を解消しないまま進めようとしたことが今回の事態を招いた。入試のどの部分をどの機関がどのような形で担うのが現実的かつ最善か、公開の場での真剣な議論が必要だ。機能する仕組みなくして、目標は実現できない。
 検討会議は今年末までで、必要に応じて延長するとしている。記述式問題の充実策は期限を区切らず話し合う一方、英語については今年末までに結論を出し、24年度からの実施を目指す。24年度は、新学習指導要領の導入に合わせた設定という。経過の検証も含め、1年弱の検討期間は「まっさらな状態から」多様な意見を吸い上げながら作業を進めるのに十分だろうか。結論ありきで進めると、同じ轍(てつ)を踏むことになりかねない。