米軍三沢基地所属のF16戦闘機が6日、六ケ所村の私有地に模擬弾を落下させた。しかも、米軍が防衛省に報告したのは翌7日という。基地と地元自治体は信頼関係の上で共存しているはずだが、人的被害がなかったとはいえ、米軍のこうした対応は、信頼を著しく損なうものであり、憤りを禁じ得ない。
 防衛省によると、6日午後6時35分ごろ、訓練中のF16が三沢市と六ケ所村にまたがる「三沢対地射爆撃場」の西約5キロの牧草地に模擬弾1発を落とした。模擬弾にはコンクリートが詰められ重さは約230キロ。深さ約3メートルの地中に埋まっていたという。火薬が入っていなくても、これだけの威力があるのだ。現場の5キロ圏内には学校などもある。もし当たっていたらどうなっていただろうか。
 落下が明らかになった7日、三村申吾知事が「一歩間違えれば大変な惨事」、菅義偉官房長官は「あってはならないもの」と述べ、地元六ケ所村と三沢市の首長も一斉に非難した。民有地に落下させただけでも周辺住民に大きな不安を抱かせるが、米軍が防衛省に報告したのが翌日朝になってからだったため、防衛省から関係自治体への情報提供も当然、それ以降になった。こうした米軍の姿勢が、疑問と不信感を増幅させた。
 三村氏は8日午前、防衛省に河野太郎防衛相を訪ね、再発防止策が講じられるまでF16の模擬弾訓練を中止させるよう要請するとともに、事故の連絡が発生翌日だったことを批判した。これに対し河野氏は「(米軍に)原因究明、再発防止策をしっかり講じるよう申し入れる」とし、報告が遅くなったことについては「申し訳ない」と謝罪した。米軍は防衛省に当面の訓練中止を伝えてきたというが、抗議をどれだけ深刻に受け止めているのか疑念が残る。
 三沢基地の米軍機は今年1月、部品の一部を八甲田の山中に落下させたほか、エンジントラブルで青森空港に緊急着陸。翌2月は三沢飛行場でオーバーランし、民間機の運航に影響を及ぼした。6月には北海道で低空飛行(米側は最低安全高度に注意して飛行と回答)し、校庭の児童が待避した。実害があったものでは、昨年2月に小川原湖へ燃料タンクを投棄し、漁業に大打撃を与えた問題が記憶に新しい。
 防衛省や県などはその都度、抗議し再発防止を求めてきたが、こうした問題は後を絶たない。報告遅れは他基地でもある。昨年は嘉手納基地(沖縄県)に所属するF15戦闘機の部品がなくなったが、日本側に報告があったのは6日も後で、防衛省は「迅速な情報提供を要請している」としていた。それなのに、また「迅速な情報提供」はなかったのだから、不信感を抱いて当然だ。米軍は姿勢を改めない限り、地元の理解が得られないことを肝に銘じなければならない。