厚生労働省が再編統合の議論が必要と判断した全国の公立・公的病院名を公表し、本県では板柳中央病院、大鰐病院、浪岡病院、つがる西北五広域連合かなぎ病院、黒石病院など10病院が対象となった。国は強制力はないとしながらも、対象の病院の取り扱いを来年9月までに取りまとめるよう都道府県に求めており、地方から不満や反発が相次いでいる。
 医療機能の見直しは、地方自治体が頭を悩ませている難しい問題だ。個々の事情を考慮せず、全国一律の基準に当てはめて公表する国のやり方に、反発の声が上がるのは当然だろう。4日に開かれた地域医療に関する国と地方の協議の場で、厚労省は公表の仕方に関し「反省している」と話し、今月から各地を回って説明する方針を示したというが、協議は今後も難航することが予想される。
 病院名を公表するに当たって、厚労省が判断の基準としたのは「がんや救急医療などの診療実績が特に少ない」「がんや脳卒中など類似する治療を受けられ、近接している医療機関がある」という2項目。だが診療実績だけで、当該の病院が地域で果たしている役割を測ることはできないし、“近接”といってもアクセス手段の多寡、降雪など気象条件によって距離感はかなり違ってくる。国は病院名の公表は議論の活性化につなげる狙いがあり、機械的に統廃合を決めるものではないと釈明しているが、そうであればなおのこと、公表の仕方を考慮すべきだった。今回のようなやり方では実名の上がった病院がなくなるのでは、と住民に不安が広がるのは予想できたことだ。
 公表の背景には、75歳以上の高齢者が急増する2025年度を見据えた医療提供体制の見直しを急ぎ、医療費の膨張を抑えたいという国の思いがある。少子高齢化で今後、集中的な医療が必要な急性期病床は過剰になり、リハビリなどにつなげる回復期病床は不足するとして、機能転換が必要というのが国の考えだ。
 実際、人口減少や高齢化、医師不足などの課題に対応するためには、病院の再編統合も含め、地域医療をどう確保していくかという検討は必要だ。本県でも県や医療機関の関係者がより効率的な医療提供体制の構築、医療の質の向上を目指し、既に取り組みを進めている。弘前市で進む、国立病院機構弘前病院と市立病院を統合し、病院機能を集約する新中核病院の動きもこの一環だ。地域の実情をよく知る関係者間で、本県に合った医療提供体制を模索し続けてもらいたい。
 ただこうした検討は、単に効率を優先したと受け取られないように留意することが何よりも重要だろう。検討の結果、不便になっただけ、ということでは住民の側も受け入れ難い。医療機能の見直しは今ある資源でより良い医療を提供するため、結局は地域住民のためだ。住民目線で考え、理解を得る努力が必要だ。