青森地方最低賃金審議会が8日、本県の最低賃金を28円引き上げ、時給790円とするよう青森労働局長に答申した。本県の最低賃金はここ数年、引き上げが続いており、今回の上げ幅は賃金を時給で示す方式となった2002年以降で最大だという。現在、異議申し出を受け付けており、最短で10月4日から新たな最低賃金が適用となる見通しだ。
 厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した本県の目安額は26円以上の引き上げ。本県での審議は賃上げの方向では一致したが、金額をめぐって労使の意見が分かれ、最終的には採決で決定。目安を上回る28円増の提案に、使用者側の委員は全員反対、労働者代表と公益代表の賛成で決まったという。
 賛成、反対の両者の言い分はどちらも分かる。使用者側に言わせれば、賃上げは毎年続いており、ここ4年はいずれも20円超の上げ幅だ。本県は中小企業が多く、首都圏の大企業などとは違って景気回復の実感が感じられない中で、労働力不足や働き方改革といった課題への対応を迫られている。中小企業は人員もノウハウも十分ではないことが多い。厳しい局面にある企業も少なくないだろう。この5年間で97円の引き上げになったとして「企業努力だけでの対応は限界に達している」と厳しい現状を指摘している。
 ただ中央とは依然として賃金格差がある。中央審議会が示した引き上げ後の全国平均の時給は901円。東京は神奈川県と共に初の1000円台を上回る1013円だった。本県の790円は全国15県と同額の最も低い最低賃金額で、平均とは100円、中央とは200円近い差がある。人材確保の競争が激しくなる中、このままでは優秀な人材が県外に流出してしまうという公益代表や労働者側の懸念はもっともだ。賃金が安く、人手不足で常に多忙な職場は、特に若い労働者に敬遠されてしまう。また働いても生活が苦しい、という状況に陥らないように、一定の賃金は確保されるべきだ。
 今後も人口減少、労働力不足の傾向は続き、働き手を確保するための競争はますます激しくなるだろう。働く側が職場を選ぶ時に、分かりやすいのは何といっても賃金や待遇面だ。すぐに対応できる中小企業ばかりではないだろうし、無理な賃上げで企業自体が立ちゆかなくなっては本末転倒だが、何の手も打たなければ、今後はますます厳しくなっていくことは間違いない。業務の見直し、会社の事業規模の見直しなど、踏み込んで会社の将来を考える姿勢が必要なのだろう。
 審議会では国や行政に対し、中小企業支援の強化を求める声も出たようだ。低賃金は地方の人口流出を加速させかねない。今回、目安を上回る改定額を示した県が相次いだのも、そうした懸念が強いからだ。中小企業が腰を据えて取り組めるような行政のサポートを求めたい。