2020年東京五輪まで500日を切った。開幕まで500日に迫った12日、聖火リレーの出発地が、東京電力福島第1原発事故の対応拠点として活用されたサッカー施設「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町、広野町)に決まったほか、各地で記念イベントが開かれた。大会招致を実現させた「復興五輪」の理念の下、成功に向けた機運を一層高めたい。
 聖火リレーは20年3月26日にスタートし、開会式が行われる7月24日まで全47都道府県を巡る。大会組織委員会によると、リレーに先立ち、3月20~25日は「復興の火」として宮城、岩手、福島の順に被災3県で2日ずつ展示する場所も決定。各県の要望を踏まえながら、震災で大きな被害を受けた場所が選ばれ、岩手では三陸鉄道、SL銀河の車内や駅での展示が計画される凝りようだ。
 当初は開催理念が希薄とされていた東京だったが、「スポーツの力」が震災被災地の大きな希望の一つになったとして前面に押し出し、その価値を五輪開催で次世代や世界に広げると訴えた。招致活動に震災を関連付けることはマイナスイメージになるとの声もあったが、最終的に東京で開催する意義を深めた。
 このような経緯を踏まえれば、聖火リレーの出発点をJヴィレッジに決めたことは適切な判断だったと思われる。大会の理念を改めて発信することもできたのではないか。120日余りにわたる聖火リレーを通じ、震災被災地をはじめ全国の五輪への関心が高まり、大会成功につながっていくことを期待したい。
 被災した岩手、宮城、福島3県の計42市町村の首長を対象に、時事通信社が一昨年12月~昨年2月に行ったアンケートでは、復興五輪の理念が「浸透している」と考える首長は約26%にとどまり、被災地との連携不足を指摘する意見が目立った。その後、1年たって状況は変わったのだろうか。
 現実はなかなか厳しい。例えば、五輪出場国・地域と被災3県の自治体の交流を促そうと設けられた「復興『ありがとう』ホストタウン」制度に登録されたのは、18年末時点で21市町村にとどまる。これは全127市町村の2割弱。特に福島は全59市町村のうち、わずか5市町村と伸び悩む。
 復興事業そのものや原発事故への対応で手いっぱいという自治体が少なくないのだろう。ホストタウンになると、国から一部経費の支援を受けられるものの、自治体の持ち出しもあり、「果たして十分な受け入れ態勢をつくることができるだろうか」と関係者が慎重になるのも理解できる。
 五輪開催まで残された準備期間は短いが、大会が復興の歩みをアピールしてさらに復興を加速させる契機となるよう、関係者には「復興」の理念浸透に一層努めてもらいたい。