学校法人「森友学園」への国有地売却に関する文書の書き換え疑惑で、財務省は調査状況を国会報告するはずだった6日も“ゼロ回答”に終始した。政権を揺るがしかねない重大な問題であり、国民の関心も高かったため肩すかしを食った格好だ。ただ、この影響で国民生活に関わる予算案審議もストップしており、早急な真相解明が求められる。
 今回の疑惑は、財務省近畿財務局が学園との契約の際に作成した決裁文書に関し、契約当時と問題発覚後の時点で内容に違いがあり、書き換えられた可能性があるというもの。価格交渉が行われたことを示す記載が消えるなどしたという。
 財務省は2日に疑惑が浮上したことを受け、省内で調査を進め、6日までに状況を報告するとしていた。しかし同日の参院予算委員会理事会で財務省側は「大阪地検で捜査が行われている状況だ」とした上で、「捜査に影響を与えないよう留意し、全省挙げて調査を進めたい」とするにとどめ、書き換えの有無は明らかにしなかった。
 これに対し野党は「ゼロ回答だ」と反発し、この日の国会は空転する結果に。自民党の二階俊博幹事長は会見で、財務省の対応について「ちょっと理解できない。国会の審議が進まない」と苦言を呈した。
 今回の疑惑は、「改ざんが真実なら極めて由々しき事態」(麻生太郎副総理兼財務相)であり、公明党関係者からは「改ざんが本当なら、政権が吹き飛ぶ」との声も漏れる。
 一方、野党側は「事実なら内閣総辞職に値する」と攻勢を強めている。担当閣僚で安倍政権の「骨格」でもある麻生氏の辞任を求める声が出ているほか、前理財局長である佐川宣寿国税庁長官の証人喚問要求も、さらに強める方針だ。
 果たして財務省ぐるみの首相への忖(そん)度(たく)なのか、単に担当部局における決裁文書の前段の修正なのか、事実が明らかにならなければ国会審議が前に進まない。むろん、公文書の改ざんとなれば政権そのものが危うくなるが、予算関連法案など重要法案が山積する中、財務省は早急に調査結果を報告すべきだ。
 振り返れば、裁量労働制に関する調査結果に多くの異常値が見つかった問題を受け、衆院での予算案採決を与党の譲歩で1日先延ばししてから、わずか1週間である。
 参院予算委の審議では「働き方改革」関連法案も引き続き論点となる。違法な裁量労働制を適用された会社員が長時間労働の末に自殺し、労災認定されていた事実が首相に報告されていなかったことも明らかになっている。
 「安倍1強」による強引な国会運営が指摘されて久しいが、ここにきての波乱含みの展開は、政権の求心力が低下していることの表れなのだろうか。