安倍政権の新たな目玉政策「人づくり革命」の具体策を議論する「人生100年時代構想会議」の初会合が11日、首相官邸で開かれた。官邸ホームページによると、安倍晋三首相は「人づくり革命」を人生100年時代を見据えたものと位置付け、安倍内閣が目指す「一億総活躍社会をつくり上げる上での本丸」と訴えた。
 さらには今後の議論に向けた論点を(1)全ての人に開かれた大学教育の機会確保(2)何歳になっても学び直しができる環境の整備(3)全世代型社会保障への改革(4)施策の実行に伴う財源の確保―と掲げた。具体的には給付型奨学金や授業料減免措置などの拡充・強化、社会人が学び直す「リカレント教育」、リカレント教育を受けた人に教育の道が開かれるような企業採用の多元化、高齢者重視の社会保障制度見直しなどについて取り上げるという。
 正直なところ、人生100年時代と学び直しなどをどのように結び付け、何を最終的な目標とするのかは分かりにくいが、安倍首相は会議に先駆けた発言の中で、人生100年の中で新たなことに挑戦しようとする意欲ある人が学び直し、新たな人生を始めることで、活力ある社会の維持、発展を目指す、という趣旨の発言をしている。
 人生100年という言葉だけで見ていくと、厚生労働省が今年7月に発表した2016年の日本人の平均寿命は男性が80・98歳、女性が87・14歳で、いずれも過去最高を更新した。統計を取り始めた1947年は男性50・06歳、女性53・96歳だったが、医療技術の進歩や公衆衛生向上に伴い、右肩上がりで伸びている。今年4月に公表された将来推計人口では65年時点で男性84・95歳、女性91・35歳にまで達する可能性が示されたという。確かに人生100年という言葉が現実性を帯びつつあり、かつての「人生50年」という時代からすると、まさに驚きなのではないか。
 しかし、こうした長い人生を通じて在学中、社会人時代、老後と、どの世代となっても不安が付きまとうことが少なくない。奨学金返済や職場内ストレス、失業、老後の資金は…などが主なものだろうか。そうした中でも学び直したい、再チャレンジしたいという意欲を持つ人は多数いる。実際に今回の取り組みが成功するのであれば、多くの人に夢と希望を与えるものとなるだろう。
 しかし、安倍政権の経済政策「アベノミクス」は効果の波及に疑問を呈する声が少なくないほか、次期政権になっても「革命」の取り組みが続くのかと不安要素はある。ただ、初会合の中で掲げた取り組み内容は、多くの国民が望んでいたことであろう。「看板倒れ」に終わらぬよう願うとともに、議論の推移を見守っていきたい。