北朝鮮の暴挙はとどまることを知らず脅威は増すばかりだ。29日午前6時前、北朝鮮は弾道ミサイル1発を発射。ミサイルは北海道の渡島半島上空を通過し、襟裳岬東方の太平洋上に落下した。
 ミサイル情報は総務省消防庁により全国瞬時警報システム「Jアラート」で本県など12道県に配信された。早朝、防災行政無線やテレビなどから突然物々しく流れる避難の呼び掛けに、多くの人が戸惑い、不安を感じたはずだ。
 ミサイルは事前予告なしに発射され、日本上空を通過した。幸い被害は確認されていないが、万が一、日本の領土に着弾していたらどうなっていたか。そう考えると非常に許し難い挑発行為である。安倍晋三首相は「これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、地域の平和と安全を著しく損なうものだ」と強く非難した。
 今回のミサイルは北朝鮮が米領グアム沖への新型中長距離弾道ミサイル「火星12」発射計画を公表後、国際社会がその動向を見守る中で行われた。公表されていた計画に基づけば島根、広島、愛媛、高知の4県上空を通過することになるが、計画とは異なる軌道をとった。
 米に対する直接の軍事挑発は避ける一方、ミサイルの脅威を強く誇示する狙いがあるとみられる。ミサイルの飛行距離をみれば、日本全土が射程範囲に入ることになり、いつでも奇襲が可能な能力を見せつけたといえる。
 北朝鮮のミサイル発射は今年に入って既に10回を超えている。国際社会はその都度、制裁で圧力をかけ続けると同時に対話に向けた糸口を探ってきた。しかしながら北朝鮮の暴挙はとどまるどころかエスカレートする一方だ。
 もはや現状の制裁による圧力や対話で北朝鮮問題を解決するのは難しくなっていると感じる。かといって軍事的選択肢を行使しては大きな犠牲を生むだけだ。非常に難しい問題だが、対北朝鮮問題でカギを握る中国、ロシアの協力を得ながら、国際社会がより一層連携して対応していく必要がある。
 一方、今回のミサイル発射への対応をめぐっては課題も浮かび上がった。総務省がJアラートでミサイル情報を配信したものの、一部市町村では防災行政無線の放送が流れなかったり、誤って放送されたりするトラブルがあった。
 頑丈な建物や地下への避難の呼び掛けがあったものの、県内では実際にそういった建物がなかなか近くにはない。多くの住民は避難することもできず、発射から10分もたたないうちに日本上空を飛んでいたミサイルの推移を、じっと見守るしかなかったのが実情だろう。
 北朝鮮の暴走が続く限り、今回のようなミサイル発射は今後も起こり得るだろう。落ち着いて行動できるよう、対策をしっかり周知する必要がある。