2019年の世界文化遺産登録を目指してきた本県など4道県の「北海道・北東北の縄文遺跡群」について、国の文化審議会は7月31日の会合で、ユネスコ(国際教育科学文化機関)への推薦を見送った。推薦見送りは5回目。ユネスコ世界遺産委員会審査の前段階である文化審の理解を得ることがいかに難しいかを、改めて痛感した。
 縄文遺跡群は青森市の国特別史跡「三内丸山遺跡」や弘前市の国史跡「大森勝山遺跡」など、北海道と北東北3県にある計17の資産で構成。約1万年にわたり発展し、大型集落や祭祀(さいし)道具に特異性がある「地域文化圏」と位置付け、同時代の他文化圏にも影響を与えたと主張した。前回(16年)の推薦見送りの際に文化審は「縄文文化の普遍的価値を説明する上で、17資産それぞれの位置付けが十分に精査されていない」としており、この指摘を踏まえて今回の推薦を目指した。
 しかし文化審は、縄文時代を代表するだけの優位性や特異性が十分に説明されていないことを理由に推薦を見送った。文化審世界文化遺産部会は「構成資産の説明が工夫され、明確になった」と、前回からの改善点を評価した半面、「さらなる努力が必要」と厳しい意見もあった。
 同部会の佐藤信部会長らは会合後の会見で、他の地域文化圏と比較検討し、共通点や相違点などをさらに説明する必要があると指摘。全国に縄文遺跡がある中で、北海道と北東北3県に限定して登録を目指すのだから、誰が見ても理解、納得できるものでなければならないのは当然。しかも世界文化遺産である。国内での価値のみならず、世界的価値を認めさせる必要がある。
 15年は縄文遺跡群全体の価値と構成遺跡の関係、16年は構成遺跡それぞれの位置付け、そして今回は縄文時代を代表するだけの優位性、特異性―の説明不足が指摘された。言葉は違えど、提出した推薦書素案が、縄文遺跡群の価値を裏付けるレベルに達していないという欠点を解消できていないことを示す。
 県世界文化遺産登録推進室は後日、詳細な理由を聞き取る予定で、現時点では「これまで示された課題については、推薦書素案でほぼ説明は尽くしており、一定の理解が得られた」と受け止めている。しかし、それでも推薦されないのだから、指摘部分を修正しただけで、文化審を納得させられないのは明らか。
 来年の推薦を目指す以上、文化審が求めるレベルを超えた内容にする必要があるのではないか。4道県で組織する縄文遺跡群世界遺産登録推進本部長の三村申吾青森県知事は「全力で取り組む」とした。推薦を得る難しさを心に刻み、言葉だけではない「全力」を尽くさなければならない。