東京都議選が2日投開票され、小池百合子知事率いる地域政党「都民ファーストの会」が第1党に躍進。公明党が都民ファーストと協力したことなどで、知事支持勢力は定数127の過半数を上回る79議席を獲得した。一方の自民党は国政で抱える問題が響き、過去最低の23議席と歴史的大敗を喫した。都政と国政は違うとはいえ、「安倍1強」を大きく揺るがしたのは確かだ。
 大勝を受けて小池知事は「当たり前の都政を都民が取り返す瞬間。改革の姿勢を評価していただいた。それだけ責任も重い」と表現した。しかし、勝因全てが小池都政への評価と受け止めるのは早計だ。時事通信の出口調査によると、自民党支持層票の約2割が都民ファースト候補に流れており、少なからず自民党自滅の恩恵を受けたと推測できる。
 政権内では安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題など、国民に不信感を抱かせる問題が相次いだ。都議選で応援演説に立った安倍首相に対しては、一部聴衆が「帰れ」などと激しいブーイングを浴びせ、党内からも「逆効果だった」との声が漏れた。
 大敗から一夜明けた3日午前、安倍首相は記者団の質問に「大変厳しい審判。安倍政権に緩みがあるのではないかという批判があったのだろう」と総括し「国民の信頼回復に努めたい」と述べた。ただ、加計学園問題に加え、稲田朋美防衛相の失言、女性議員による政策秘書への暴行―と、議員の資質や安倍首相の任命責任などを問う声は大きくなるばかりだ。1強に慢心してきた自民党が、失った信頼を取り戻すのは容易ではない。
 一方、小池知事も3日午前に記者団の取材に応じ、同日付で都民ファーストの代表を退く意向を表明した。知事支持勢力の過半数確保で「二元代表制」が機能しなくなるとの指摘に配慮した格好だが、小池知事人気にも後押しされて当選したのだから、実効あるものになるかは不透明だ。3年後の東京五輪・パラリンピックや豊洲市場問題など、全国的に関心の高い課題が山積している。都政をチェックする新人都議の動向は、都民ファースト、小池都政の評価対象になる。
 自民党の惨敗や、都民ファーストと公明党の協力で生じた自公の溝など、都議選は国政に激震をもたらした。政府・自民党が、加計学園問題などで野党側が求める閉会中審査に応じる方向で検討に入ったのも、大敗で揺らいだ党内の危機感の表れだろう。
 ささやかれ続ける都民ファーストの国政進出について小池知事は否定したが、都議選で大きな影響力を見せつけたことを考えると非現実的とは言い切れない。この勢いを保ったまま国政に臨めば、安倍政権にとって脅威になり得る。次期衆院選への動きに注視する必要がある。