2010年春闘は、金属労協(IMF―JC)に加盟する自動車、電機、鉄鋼などの大手主要企業が各労働組合の要求に対して一斉に回答し、これから地方でも本格化する。
焦点となっていた定期昇給では、大半の経営側が維持を回答したため事実上の賃下げは回避されたが、年間賞与や一時金については業績などにより満額と減額回答で明暗が分かれた。
今春闘の特徴は労組側が要求のハードルを下げたことである。連合は5年ぶりに統一ベースアップ(ベア)要求を見送り、賃金カーブ維持分(定期昇給など)の確保を求めた。
経営側はこれを受け入れ、定昇を維持した。また一時金などについては明暗が分かれたものの、総じて業績低迷により大幅に低下した前年実績額から引き上げる回答が相次いだ。
連合がベアを見送り、定昇維持に的を絞ったのは、雇用を優先させるためである。このため大手主要企業の労組の大半がベア要求を控え、定昇確保と一時金が焦点となっていた。
自動車では、日産自動車が一時金5カ月の要求に満額回答。賃金は定昇相当分の6000円のほか、若年層への評価特別配分200円を上乗せした。一時金はホンダが5・7カ月の要求満額、トヨタ自動車は5カ月プラス6万円を回答した。
電機大手では三菱電機が定昇維持、一時金5・02カ月を回答し、NEC、富士通、三洋電機、パナソニック電工も定昇を維持した。09年春闘ではリーマン・ショック後の業績不振を受けて定昇凍結に踏み切る電機大手が相次いだが、今春闘では企業の業績回復で新たな賃金削減は見送られた。
内閣府が発表した昨年10~12月期の国内総生産(GDP)が前期比1・1%増、年換算で4・6%増と三・四半期連続でプラス成長となったことも業績の回復傾向を示す証しと言える。
しかし日本経済の基盤強化を図るために必要なのは、経済社会を下支えしている中小企業で働く中間所得層を拡大することである。
厚労省が発表した1月の毎月勤労統計調査では、基本給や残業代などすべて含めた現金給与総額は前年同月比0・2%減の27万2187円と、20カ月連続のマイナスとなっている。
定昇は労働者の生活設計のベースとなるものだけに、これから本格化する地方での春闘でも定昇が維持され、労働者の所得環境が改善されることで個人消費を喚起し、デフレ・スパイラルから脱却しなければならない。
一方、もう一つの焦点である非正規労働者の待遇改善が賃金闘争に埋没した感が否めないのも残念である。3人に1人が非正規労働者という現状を考えれば、賃金の底上げによる中間所得層の拡大と同時に、待遇改善に向けた労使のさらなる取り組みが急務だ。













