高齢者が家族らから受ける暴行や暴言などの虐待が深刻化している。
2007年度の高齢者への虐待件数は家庭内で1万3273件(前年度比5.6%増)、介護施設内で62件(同14.8%増)で、家族や親族から虐待を受けて死亡した高齢者も27人に上ることが、厚生労働省の調査で分かった。
家庭内、介護施設内とも被害者の約8割は女性で、家庭内虐待では約4割が息子による虐待である。介護の負担に追い詰められて虐待に走るケースが多いとみられ、高齢者虐待の実態が浮き彫りになった。
高齢化社会の進展に伴い、こうした事態がさらに深刻化する懸念もぬぐいきれない。地域社会が連携を深めて知恵を出し合い、高齢者虐待を防止したいものである。
調査は06年4月に施行され、高齢者虐待を見た人に通報を義務付けた高齢者虐待防止法に基づいて実施されたもので、全区市町村、都道府県に虐待件数や対応状況などを聞いた。
家庭内での虐待が疑われるとして、自治体などの窓口に相談や通報があったのは1万9971件、介護施設内での虐待が疑われるとしたものが379件の計2万350件あり、前年度比9%増となった。
訪問調査などの結果、このうち1万3273件が家庭内虐待、62件が介護施設内虐待と判断されたわけである。
家庭内虐待の被害者の77%は女性で、約7割は要介護認定を受けていた。加害者の86%が同居する家族で、息子(40%)、夫(16%)、娘(15%)の順だった。また虐待の種類は、暴力を加えるなどの「身体的虐待」(64%)、暴言を吐くなどの「心理的虐待」(38%)、「介護放棄」(28%)、財産を奪うなどの「経済的虐待」(26%)の順である。
一方、介護施設などでの虐待はグループホーム、特別養護老人ホームで起きたケースがそれぞれ3割を占め、虐待者の8割余りが介護職員だ。
本県でも高齢者虐待は増加傾向にある。県のまとめによると、07年度に高齢者虐待と認定されたのは58件で、前年度を1件上回った。虐待を行ったのは家族らが56件、介護施設の職員が2件で、被害者のうち50件は女性だった。
虐待の内容は身体的虐待46件、心理的虐待16件、経済的虐待15件、介護放棄3件となっている。
表面化する虐待は「氷山の一角」との見方もあるため、虐待に遭っている高齢者をいかに発見し、どう対応していくかが課題だ。地域ぐるみで高齢者を見守る体制づくりが必要なほか、虐待の背景には介護疲れなどが指摘されるだけに、介護する側の心身の負担を軽減する支援策も欠かせない。













