弘前市の郊外、久渡寺山の麓で半世紀にわたり営業を続けてきた「こどもの森売店」が、23日をもって閉店した。1969年オープンの「市こどもの森」と、ほぼ時を同じくして開店し、温かな中華そばやうどん、駄菓子などを提供してきた。虫探しの子どもたちや登山客、地域住民の憩いの場として愛されてきた店は、多くの人に惜しまれながらのれんを下ろした。
 こどもの森売店は、久渡寺前住職の娘・陸奥子さんが始めた店で、最後は陸奥子さんから声を掛けられた3代目の笹野千恵子さん(65)=弘前市=が14年間、切り盛りしていた。店は陸奥子さんから数えて51年間続いた。
 売店の利用客は、県内外の登山客や参拝客から子どもたち、農作業の合間に訪れる地域住民までさまざまだった。笹野さんは「昔はよくここまで自転車で上がってきた子どもたちがアイスを食べるなどした。ソフトクリームの機械もあって人気だったけれど壊れてしまった。いろんなものが古くなってしまって、潮時」と話す。
 売店は、食堂としての役割だけでなく、久渡寺やこどもの森の案内所、登山客の見守りの役割も担ってきた。「朝、山に入っていった人の車が夕方まであれば、心配だから戻ってくるまで帰らないで待ったし、夜、自転車の鍵をなくして親の迎えを待つ子どもたちを売店の中で待たせたこともあった」
 閉店の知らせは9月になって店頭へ張り出したが、噂を聞き付け来店する人が盆あたりから増え、遠くは東京、札幌などからも訪れるようになり、「学生時代によく食べに来た」「亡くなった夫と来た」などと懐かしんだという。笹野さんは「ここまでこられたのは初代の陸奥子さんの力が大きい。陸奥子さんは元気かと尋ねるお客さんも多かった」と振り返る。
【写真説明】子どもから県内外の登山客、地域住民まで多くの人から愛された売店

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