板柳町で江戸初期から日本酒を造ってきた竹浪酒造店。つがる市に移転後、今年3月に経営の悪化で破産したが、千葉県の不動産関係会社が出資して同市に新たな酒造会社「竹浪酒造店」を設立、事業を引き継ぐ形で再スタートを切った。17代目の竹浪令晃(よしあき)さん(48)が再び杜氏(とうじ)を務め、長年親しまれてきた「岩木正宗」「七郎兵衛」の銘柄を引き継いでいく。
 同町の通称・仲町地区に酒蔵を構えていた旧竹浪酒造店。正保2(1645)年創業で、現存する酒蔵では県内最古だった。町内外の人々に親しまれ、平成初期は1億円近い売り上げがあったが、競争の激化などで次第に資金繰りが悪化。酒蔵も手放さざるを得なくなり、19年にはつがる市稲垣町に移転した。
 「続けたいが、この先どうしたらいいのか…。右往左往していた」。竹浪さんは、破産直後の心境を語る。知人や消費者から多くの励まし、再建を期待する声が寄せられたという。
 「岩木正宗」の味にひかれ、昨年からアルバイトで手伝っていた沢田夏歩さん(30)もその一人。「(竹浪さんのお酒が)飲めなくなるのは死活問題。晩酌でもストックを気にしながらちびちび飲むようになったくらいで…」と振り返る。
 ただ、救いの手は案外早くに差し伸べられた。破産が報じられてから1週間ほどで、ネットニュースで知った不動産関係会社から連絡があり、3千万円の出資が決定。杜氏、銘柄をそのまま引き継ぎ、新生「竹浪酒造店」として再起を図ることになった。
 竹浪さんは今月1日付で再度酒造免許を取得。一緒に働く仲間として、同級生で今年4月に閉店した同じ仲町地区の老舗「川口あんぱん」の次男川口昭明(あきら)さん(48)と、沢田さんを迎え入れた。
 川口さんは旧酒蔵でのライブにスタッフとして関わった経験もある。昨年川口あんぱんを退職し、首都圏で働いていたが帰郷。旧竹浪酒造店はほぼ家族経営だったため、川口さんは「(竹浪さんは)冬は一人で仕込むため手が離せず、その間営業で支えたい。まずはつがる市の人に知ってもらえるようにする」と意気込む。
 竹浪酒造店は、今月下旬ごろから以前に仕込んだ日本酒を出荷する予定。新酒の醸造開始は来年1月中旬ごろを見込む。
【写真説明】再起に意欲を見せる(左から)沢田さん、竹浪さん、川口さん

※詳しくは本紙紙面をご覧ください。