弘前保健所管内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから1カ月。管内で発生した大規模なクラスター(感染者集団)により、管内の各医療機関のスタッフは検査態勢強化や地域医療態勢の維持のため不眠不休で対応に当たった。弘前大学医学部附属病院感染制御センターの萱場広之センター長は「感染は収束に向かっているが、医療態勢としてはまだ構えが必要」との見方を示す。今後のインフルエンザとの同時流行に備え、各医療機関はインフルエンザと新型コロナの抗原を同時に判定できる検査キットの導入を進めるなど対策を進めている。
 管内医療関係者らによると、クラスターによる感染者急増時、重症患者を診る医療機関でも中等症・軽症患者を一時的に受け入れるなど「地域医療態勢を維持できるかぎりぎりの状態」だったという。
 1カ月がたって陽性者や検査対応数は減っているものの、現在も各医療機関は一般診療と新型コロナ患者受け入れを両立させるため、総力を挙げている。中には、3週間も自宅に戻らずに対応に当たるスタッフもいるなど、感染への不安を抱えながら神経をすり減らす日々が続いている。
 市内で救急外来(ER)を設置する健生病院は感染拡大を受け、10月中旬から一般診療と動線を分けて対応する発熱外来を開設し、発熱患者を受け入れてきた。PCR検査を多い時で100件以上実施したほか、検診などの急を要さない診察や手術を延期しながら一般診療を維持。新型コロナ対応にも多くの医療スタッフを充てており、今後についても「一般診療と発熱者の両方への対応で気の抜けない状況が続く」とする。
 地域医療の要である弘前大学医学部附属病院では院内対策に加え、新型コロナ対応に当たった他の医療機関に対し感染防止対策の面で支援。陽性者のトリアージのため、同病院の感染制御センターや高度救命救急センターから医療スタッフを保健所に派遣するなど地域医療を守る対策にも奔走した。
 萱場センター長は地域の現状について「陽性者は減っていているが、まだ出ており火種がくすぶっている状況。いつクラスターが発生してもおかしくない」と分析。インフルエンザとの同時流行に備え、発熱のある患者に対応するスペースをつくるなど対策を進める方針だ。
 地域住民に対し「まずはインフルエンザの予防接種を受けることが重要だ。また今回は家庭内感染も多かった。気を緩めず3密を避ける、手洗い、マスク着用といった自分を律した行動を心掛けることが大切になる」と感染予防対策を呼び掛けた。
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