メロンの表面に「アマビエ」がくっきり―。つがる市のメロン農家で就農2年目の工藤亜梨菜(ありな)さん(29)が、ネットメロンの成長過程において、かさぶたのような役割を持つ編み目の特性を利用して描いたもので、今夏県内のスーパーや直売所に並び、好評を得ている。「つがる市のメロンをもっと広めたい」と語るとともに「新しいことに挑戦しなければ生産地として残っていけない」とも感じており、市産メロンに新たな付加価値を持たせようと奮闘している。
 前職はスポーツインストラクター。3代以上続くメロン農家に生まれた3姉妹の長女だ。両親に家業を継ぐよう言われていたわけではない。だが、2年前に県外から古里に戻ったのを機に就農。「やっぱり長女なので、いずれは家を継ごうという思いはあった」
 就農1年目は簡単な絵や文字を入れて、自分で楽しむだけだった。2年目の今年、新型コロナウイルスの終息祈願で話題になったアマビエを描き、地元の市場関係者に見せたところ反応は上々。要望を受けておよそ50個作った。「アマビエメロン」は弘前市や五所川原市の大型スーパー、津軽地方の直売所のほか、県内各地に出回った。弘前市のスーパーは店内に長く飾って疫病退散をPRしようと、高めの値段を付けて特設コーナーに並べているという。
 ほかに「ありがとう」や「お元気ですか」といった文字を書き入れたメロンもお中元や暑中見舞いの贈答用に好評だった。文字と絵柄はメロンの表面がつるつるの時期に傷を付ける形で描くが、力を入れすぎると成長過程でひび割れたり、周りの編み目がうまく現れなかったりする。
 いずれは注文を受けて名前や言葉を入れるサービスを取り入れたいと考えているが「100%きれいに出来上がる保証がない」(工藤さん)点が課題だ。それでも「『新しいことに挑戦しないと』と同じ思いを持つ同世代の生産者もいる。若い力でつがる市のメロンを盛り上げたい」と話す、“若手農業女子”の笑顔は意欲に満ちている。
【写真説明】アマビエを描いたメロンを紹介する工藤さん(写真上)、「ありがとう」の文字を入れたメロン。お中元や暑中見舞いの贈答用として好評という(写真下)

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