霜害などにより、サクランボの収量減などが起こっている=24日、鈴木農園

 今年、津軽地方のサクランボ農家が収量の減少などに頭を悩ませている。主な原因として考えられるのは、春先の霜害による着果不良。以前、栽培に力を入れていた鶴田町内では複数の観光農園がオープンを見送るなど、旬を迎えたサクランボ狩りにも影響を与えている。
 「こんなにやられたのは初めて。昨年は道の駅にも出していたのに…」。同町のサクランボ農家秋庭邦光さん(76)が無念そうに語った。今年の着果数は例年の半分程度という。町では1989年に生産団体「おうとう栽培研究会」が発足し一時は40人以上の会員が居るなどサクランボ生育が盛んだったただ高齢化などの影響で現在の会員は10人余り観光農園を開く農家も減り、今年は不作に加えてコロナ禍も重なって、オープンしたのは1カ所のみになった。
 町内の農家らによると、夜間の気温が下がった4月に霜が降り、花芽に影響して着果不良につながったとみられる。秋庭さんは「積雪が厚いと霜は付きにくい。今年は2、3月ごろから害があったのかもしれない」と昨冬の記録的な暖冬少雪が影響を及ぼした可能性もあるとみている。高齢に加え、栽培に必要な機具も高額なため、引退も頭をよぎっているという。
 県農林水産部りんご果樹課によると、津軽地方では今年の生育数はほぼ例年並みという。ただ同地方の産地市場担当者は「例年の半分も上場していない」としており、「開花期に降雨が重なったことで裂果もあった」との見方を示した。
 24日に観光サクランボ園をオープンした、同町の鈴木農園。毎年5月上旬ごろには防霜対策を講じており、今年は予想以上に早い時期に霜害が発生した可能性を指摘する。5、6月は夜間の気温が上がって寒暖差が小さくなり、やや生育の遅れも見られるという。本格的に果実に味が乗るのは、昨年より数日遅い今月下旬から7月上旬ごろとみている。
 園主の鈴木信也さん(80)の元には、今年も親子連れらリピーターからサクランボ狩りを希望する電話が寄せられており、収量が減った代わりに「果実一つが大きめになった」と品質をアピールする。
 岩木山麓にある「森の中の果樹園」(弘前市)も、「佐藤錦」が平年の半分ほどと不作。スタッフによると「販売に回さずに量を確保し、直接サクランボ狩りに来る皆さん
に満足してもらえるよう努めている」という。