新型コロナウイルスの影響で合同運行が中止となった弘前ねぷた祭り。感染拡大防止のため各運行団体の活動が自粛を強いられたが、感染状況が落ち着くとともに行政が段階的なイベント再開の指針を示したことで、自主的に町内や地域の催事としての運行を検討する団体が現れ始めている。一方、弘前市などで組織する弘前ねぷたまつり運営委員会は、4月15日に合同運行中止の発表とともに町内運行の自粛も要請しており、現在も変更はない。このため、一部町会や運行団体からは現状を踏まえた新たな指針や見解を求める声が上がっている。
 合同運行参加団体でつくる弘前ねぷたまつり合同運行安全会議に登録する85団体のうち、6割が町会を拠点とする団体。例年は合同運行のほかに、町内運行も行っている。
 東地区町会連合会(矢口正一会長)は東地区町会連合会ねぷた(大中実代表)を主幹として8月1、3、5日に、町会内で小型組ねぷたを運行することを決定。国と県が5月下旬に示した活動再開の目安、市が6月4日に発表した市主催イベントの段階的制限緩和などの指針に沿う形で、少人数での制作、運行などの感染防止対策を徹底するとしている。
 矢口会長は「4月から町会内で協議を重ね、ささやかながら伝統を絶やさず、ねぷたの灯をともしたいと決めた」と話す。4月に出された自粛要請については「出口が見えなかった当時の状況では妥当だが、現状とずれがある」とし「臨機応変な対応を望みたい」と話し、大中代表は「行政が新しい基準を示しているならそれに準拠して活動するべき。ただ、自粛要請を重く受け止めている団体も多く、まとまった議論に踏み込めない空気はある」とする。
 市は24日現在、自粛要請を変更しない方針を変えておらず、コメントも控えている。ある運行団体代表は「現状は、やるともやれないとも言えない状態」と話す。東地区のほか、青森市では古川地区ねぶた祭り実行委員会が自主運行を決め、平川市でも1団体が町内運行を計画していることを受け「近隣市町村でも自主運行の動きが出てくるのでは」とみる。町内運行は各団体の判断に委ねるとしている市町村と、弘前など一律自粛を要請する地域とのギャップも懸念し「他でやったが、こちらはできずに終わった、となれば業界としてはプラスにならない」と話す。
 地域の催事主催者から依頼があれば協力する形で運行を検討しているという別の運行団体代表は「来年の運行のため、今年は感染防止に万全を期すという考え方は分かる」と理解を示しつつ、「現在は基準が二つある状態で、改めて指針や見解を示してもらえれば安心できる。仮に地域内で感染者が出るなど状況が変わった場合は、またそれに応じればいいのでは」とした。