鯵ケ沢町教委に譲渡された「大和田出土埋蔵銭」(23日、戸沼さん方で撮影)

 昭和40年代中盤、鯵ケ沢町・大和田海岸の砂丘地で大量の古銭「大和田出土埋蔵銭」が発見された。7~15世紀の中国(唐~明)、朝鮮半島(高麗~李氏朝鮮)、沖縄県(琉球王朝)などで鋳造されたもの。枚数は県内で現存する埋蔵銭の中で最多の1万1100枚余に及び、学術的価値も高い。約50年間、発見者の男性(故人)と妻が保管してきたが、高齢などを理由に23日、町教育委員会に譲渡した。町教委は町歴史資料館・光信公の館で7月3日から始まる開館30周年特別展に合わせて常設展示する。
 埋蔵銭を寄贈したのは、同町赤石町の戸沼君江さん(82)。
 町教委によると、戸沼さんの夫・武治さん(享年70、2003年死去)が砂丘地を重機で掘削中、布袋状のものにまとまった埋蔵銭を発見。警察に届け出たが、その後返却された。
 一部散逸したものの、その後は戸沼さん方で保管し1996年以降、県史編さん室や町教委などによる調査が入り、その価値を確認してきた。
 最も古い物は唐代の621年初鋳「開元通宝」、最新の銭は琉球王朝時代の1461年初鋳の「世高通宝」。14~15世紀に鋳造された明銭の比率が全体の2割超で、いわゆる偽金で中世以降量産された模鋳銭の割合も高いことから、埋蔵年代は16世紀前半ごろと推定。祭祀(さいし)的意味合いが強いとみられる。
 調査に当たった一人、工藤清泰さん(東北中世考古学会会長、つがる市在住)は「1万枚以上の古銭がまとまって保管されているのは奇跡的で、学術的価値も高い」と評し、町教委の中田書矢総括学芸員は「寄贈により、将来にわたる保存の見通しがついた。文化財指定も検討したい」と話す。
 これまで本県で出土した埋蔵銭は、「十三鉄砲台出土埋蔵銭」(五所川原市)が2万3000枚余で最多だが、現存が確認できるものは大和田出土埋蔵銭が最も多い。
 戸沼さんは「(埋蔵銭を)なくさず引き継ぐことができて、ひと安心」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。