生誕111年を迎えた太宰治文学碑に献花する公開講座・奥津軽のメンバー

 6月19日は五所川原市金木町出身の小説家・太宰治の誕生日。生誕111年となった今年は、新型コロナウイルスの感染防止のため地元の芦野公園での生誕祭が中止となったが、文化関係者らが同公園を訪れ、太宰の文学碑・銅像にサクランボ(桜桃)などをささげ、郷土の文豪をしのんだ。
 芦野公園で毎年行われてきた生誕祭だが、今年は新型コロナ対策で取りやめに。それでも、太宰に対する弔意・敬意を示そうと、地元を中心に文化関係者らが来園した。
 金木地区の女声合唱団「チェリーコール」は、メンバー8人が文学碑の前で「走れメロス」など2曲を歌唱。公園内に美声を響かせた後、献花も行った。同合唱団創設者の蝦名昭逸さん(80)=五所川原市=は「生誕祭は無しになってしまったが、どのような形であれ今年も太宰に関わっていきたいと考えた」と説明した。
 同地区を中心とした津軽地方の文化関係者らで組織する「公開講座・奥津軽」は、講師ら10人ほどが文学碑前に集合。トルコギキョウやデンドロビウムなどを献花した。
 このうち、美術館長の桜庭利弘さん(85)は、今年4月に他界した太宰の長女・津島園子さんの不在を惜しみつつも“勝手連活動”を銘打って計画された献花について「寂しいな、何も無いなという思いがあったので、参加できて良かった」と喜んだ。
 小説「津軽」の像記念館(中泊町小泊)元館長の柳沢良知さん(81)は、太宰の門弟・小野才八郎(旧金木町出身、故人)が生前吹き込んだ、全編津軽弁の太宰作品「雀こ」の朗読をカセットテープで再生。お国なまりで繰り広げられる軽快なストーリーで出席者の笑顔を誘い「小野さんは亡くなる13日前にも太宰を訪ねている人。皆さんに朗読を聴いてもらえたのは良かった」と満足げに話した。
 弘前方面からも美術館関係者や文学者らが来園。銅像には、太宰を象徴する果物といえるサクランボがささげられていた。公開講座・奥津軽代表の角田周さん(67)は「さまざまな地元の人々が、めいめい公園を訪ね追悼する。手作り感覚の“それぞれの太宰”といった感じで、これはこれで良いことでは。われわれとしては、今後も太宰を知る機会を随時設けていきたい」と語った。