生誕111年グッズをネットで展開する太宰治疎開の家。施設内では復刻版の初版本を展示していく

 19日は五所川原市出身の文豪・太宰治の生誕111年に当たる。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、生誕祭をはじめとする地元の主立った関連イベントが中止となり、中核施設である斜陽館も今月末まで休業を余儀なくされている。首都圏や海外からの誘客を前提とした仕掛けができない中、ゆかりの団体や施設は「現状でやれることをしよう」と、ネット媒体限定企画やグッズ販売も駆使しながら、ファンへのアプローチを図っている。
 戦中―終戦直後に太宰が過ごした建物で、現在は一般公開されている同市金木町の太宰治疎開の家(旧津島家新座敷)。県内外のファンに親しまれてきたスポットで、大型連休期間を除き営業を続行してきたものの、今は人影もまばらだ。
 案内役の白川公視さん(53)は「たまに来る人も“旅に来て、すみません”といった雰囲気を漂わせていて、こちらの方こそ申し訳ない気持ちになってしまう」とこぼす。
 それでも“ぞろ目”の生誕111年に合わせ、太宰のシルエットに「NO LONGER HUMAN(人間失格)」のロゴを組み合わせた限定デザインのTシャツなど、各種メモリアルグッズを準備しネットショップ「Dazai’s」で販売している。収益は建物の保存に活用される。
 白川さんは「注文を受けた分だけ製造して発送している。ここに置けないことは残念だが、地元の皆さんにもネットからのぞいてもらえたら」とPRしている。
 施設内では今後、太宰主要作品の初版本の復刻版も展示していく。日本近代文学館が1992年に発行し、首都圏の熱狂的ファンから最近寄贈されたものだ。色味、紙質、風合いと初版発行時の状態が忠実に再現されており「疎開の家の雰囲気にもマッチしている。約30冊届いた中の一部をご紹介したい」と語った。
 五所川原市大町にある太宰治「思ひ出」の蔵に事務局を置く太宰治検定実行委員会は13~20日の8日間、ツイッター限定企画を展開。誕生日と同じ忌日に合わせて開かれてきた桜桃忌に関する写真やイラスト1枚に「#太宰治と過ごす桜桃忌」「#太宰治検定」のハッシュタグを付けて投稿すれば、抽選で5人に同蔵オリジナルグッズが当たる。公式オンラインショップでは、今月末までの間、購入者に非売品の「太宰治トカトントン封筒」を進呈する。
 太宰が幼少時に慕っていた叔母キヱのひ孫に当たる実行委員長の津島克正さん(55)は「何かしらやれることはないかと思っていたところ、静岡にいるボランティアスタッフが発案してくれた企画。ステイホームの中でも取り組めるので、盛り上がってほしい」と語った。
 当初19日に計画された生誕祭については、開催可否に関する問い合わせがいまだに市役所に寄せられている状況といい、全国的な太宰人気の高さをうかがわせる。