オンラインでの診察をする工藤副院長

 自宅や職場にいながらビデオ通話を通じて医師の診察が受けられるオンライン診療が、津軽地域でも普及し始めている。基本的には慢性疾患の患者が対象だが、新型コロナウイルスの流行を受けた規制緩和により、4月から初診での利用も解禁された。患者側の利便性が高く、医療現場の負担軽減にも効果が期待できるが、地域での認知度は都市部と比較して低く、先行的に導入している医師たちは今後の周知拡大に期待を寄せる。
 オンライン診療はパソコンやタブレット端末を介して問診や診察を行う。患者側には通院負担や診察、会計での待ち時間が解消できる利点があり、継続的な治療につながることで疾病リスクの軽減も期待できる。医師の判断ではなく、オンラインでの診療を希望する患者の依頼を受け、医師が実施する。薬は処方せんの郵送や、最寄りの薬局での直接受け取りなど、患者の都合に応じた方法で処方される。
 オンライン診療は保険診療適用となった2018年4月からスタート。初診から3カ月以上経過し、緊急時にすぐ診療できるよう自宅が医療機関から近距離にある患者を対象としていた。初診解禁は新型コロナの感染リスクを軽減する目的で時限的に認められたものだが、これを機としたオンライン診療の本格的な利用普及、対応診療所の件数拡大が見込まれている。
 弘前市石川の工藤医院(工藤幸志院長)では18年からオンライン診療を導入。工藤幸正副院長は「聴診、触診、においによる判断ができず、あくまで対面診療が原則。ただ患者にとってメリットは大きく、時間や距離を問わないオンラインならではの優位点もある」と話す。患者の通院がないことで医療従事者、入院患者の感染リスクの低減効果もその一つに挙げる。
 同医院でもオンライン診療の利用者が増えたほか、新たに介護施設や学校などから、スタッフの疾患に関する相談などもあったという。「発熱患者の相談を受けることで、感染症の最前線で対応している医療従事者の負担を減らす後方支援にもつながる」と工藤副院長。在宅医療にも活用できるとして「認知が広まり、患者さんにうまく利用してもらいたい」と話す。
 藤崎町のせきばクリニックも当初からオンライン診療に対応。コロナ禍を受け、利用者は以前の月3~4人から7~8人に増加した。関場慶博院長は「都会では利用者が急増したが、地方ではニーズが急に高まった印象はない。ただ急性疾患で利用する人が増え、問い合わせも来ている」と話す。患者に利用を提案しても高齢層では反応が芳しくなく、受け止めはさまざまというが「今後は子どもを持つ共働き世帯も増える。これからの時代に合う診療スタイルなので、皆が使っていくものになるのでは」と展望し、「われわれ開業医がニーズに対応していく必要がある」と述べた。