新型コロナウイルスの影響で、県内の木材生産現場では原木が運搬されずに野積み状態になっている様子が散見される。住宅着工の契約件数の減少で生産調整が掛かり、流通が停滞しているためだ。野積みが長引けば材質劣化による価格低下を招きかねず、その後の林業経営にも影響を与えかねない。
 県林政課によると、住宅メーカーが住宅展示場での見学会を開けず新築着工などの新規契約数が激減。木材需要も落ち込み、製材工場の減産操業で受入量が大幅に減っているという。これまでに最大約6万立方メートルが滞留したと推定される。
 建築資材の単板積層材(LVL)を生産する六戸町の工場でも、4月10日に親会社から減産操業指示があって搬入停止となった。秋田県内の製材工場が受け入れを制限し、本県産原木が六戸工場に集中したためだ。5月25日の一時解除で約5000立方メートルの在庫量が解消されたが、同29日に再び生産調整が掛かり搬入停止となった。
 伐採現場付近に設ける山土場は、搬出前の原木を山積みする一時的な集積場で、保管環境は良好とは言えない。搬出されなければ、土壌に含まれる菌や虫が侵入して材質が落ち、価格低下を引き起こす。梅雨を迎えれば腐る可能性もある。
 材質が落ちた場合、バイオマス発電の燃料などで使われるC材に回される。C材は1立方メートル当たり約4000円で取引されるが、製材用に高値取引されるA材の約8000~約9000円と比べると半額まで落ちる。
 木材流通が停滞すれば製材工場への搬入時に得られる収入が減り、原木を伐採する素材生産業者が減ってしまう恐れがある。「きつい」「汚い」「危険」の3Kの印象が強い林業は一度離れると戻ってくる人が少ないといい、需要回復時に対応できなければ県産木材の引き合いが弱まってしまう。
 事態を重く見た県林業協会と県林業会議は5月21日、早急な流通対策などを求める緊急要望を県と県議会に提出。県森林組合連合会の本間家大会長は「木材が動かないと現場の労務は進まない上に、林業全体に影響を与える」と危惧する。
 県は15日開会の県議会定例会に提出する補正予算案に、新規事業「県産材流通緊急対策」の経費9246万2000円を計上。県外や国外の木材加工施設へ緊急的に出荷する際の輸送経費などを支援する。

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