わさおの遺骨を、元の飼い主節子さんの遺影に見守られるように妻つばきの遺骨と並べて安置し、合掌する菊谷さん

 8日夕に永眠した鯵ケ沢町の人気犬わさおは翌9日午後、荼毘(だび)に付された後、飼い主で町議の菊谷忠光さん(55)と共に同町南浮田町のイカ焼き店「きくや商店」に戻った。菊谷さんは「覚悟はしていたがショック。母(飼い主だった故節子さん)に(あの世で)会って、また散歩できたら」と涙ながらに語った。町内外の関係者からも、コメントが寄せられた。
 菊谷さんに抱かれたわさおの遺骨は、節子さんの写真や妻「つばき」の遺骨がある店内に安置された。静かに手を合わせた後、報道陣の取材に応じた菊谷さんは、覚悟していたとはいえ突然のことだったといい「悔しくて、やり切れない」気持ちをのぞかせ、「母が亡くなってから、仲良くなろうと一心同体で頑張ってきた。最初は懐いてくれなかったが、ある日にちくわを買い与えたところ、ぱくぱく食べたんですよ。そこから、幾らか仲良くなって」と振り返り、「わさおには感謝しかない。(一緒にいることができて)とても幸せだった」と涙を流した。
 「わさおプロジェクト」の工藤健代表は、東日本大震災から約1カ月半後の2011年4月、被災地の岩手県陸前高田市や宮城県気仙沼市をわさお、菊谷さん、節子さんと共に訪れた。厳しい環境に置かれた被災者がわさおを見て笑顔を見せたといい「人はひどい目に遭うと、乗り越えようと笑うんです。みんな、わさおに感謝していたんですよ」と話した。
 この年、わさおが主役を務めた映画「わさお」が公開された。企画・製作に携わった東映の遠藤茂行プロデューサーは、陸奥新報社の取材にメールで応じ、撮影時の様子について「堂々たる風格を見せ、スタッフやキャスト一同は圧倒され、感動すら覚えました。そんな名演技も、わさおの目線の先にお母さん(節子さん)が必ず見守ってくれたからと思います」とし「大好きな節子さんの元へ行けるので、今はご苦労さまと見送ってあげたい」と冥福を祈った。
 弘前ロケに携わった弘前観光コンベンション協会の白戸大吾事務局長は「わさお人気で鯵ケ沢やその周辺が取り上げられ、津軽・青森の観光にとって大きな存在だったわさおを失うことは、とても残念」と惜しんだ。