弘南鉄道本社が入る平賀駅。通勤・一般利用者回復への道は長そうだ
今春、観光客の激減で打撃を受けた津軽鉄道=津軽五所川原駅

 新型コロナウイルスの感染拡大により、津軽地方の鉄道会社2社が今春大きな打撃を受けている利用者数の昨年対比は弘南鉄道(本社平川市)で一時4割津軽鉄道(同五所川原市)に至っては6割も減少した。これに伴い収入も落ち込んだが、人が集まる企画は立てにくく、回復は見通せない。可能な範囲での新企画を打ち出すなど経営努力を続けているが限度があり、県などによる経営支援は不可欠の情勢だ。
 【弘南鉄道】3月の利用者は昨年同月比40・8%減、収入は同比37・8%減。続く4月も利用者も25%減、収入が同比30%減。5月も同様の傾向が続いた。
 沿線自治体のイベント中止や一般利用者の外出自粛に加え、各校の休校措置、各企業のリモートワーク導入による通勤・通学利用者の減少が一因とみている。
 大型連休後に多くの学校で休校期間が終わったため、最近は通学利用の学生が回帰しつつある。その一方、リモートワークを続ける社会人がおり、一般利用者の外出自粛傾向も残存する。自粛のムードが続けば続くほど、回復は遠くなるとみている。
 恒例のイベント列車のうち7月に予定していた納涼ビール列車は中止。列車撮影や貸し切り列車なども軒並み中止していることも、収入減の一因としている。
 今後について担当者は「弘南鉄道は生活路線。通勤や一般利用は情勢やムードが関わるので、持ち直すのは難しく時間もかかるだろう。自社でできることのほか、県や沿線自治体に支援を相談するなど、存続のため手は打っていきたい」と語った。
 【津軽鉄道】3月の利用者は、ストーブ列車のキャンセルなどが響き1万1555人で昨年同月比42・3%減、運賃収入は498万870円で同52・7%減だった。
 2018、19年度とも月別利用者数が最も多く、本来なら繁忙期となるはずだった4月は、金木桜祭りの中止・芦野公園封鎖が響き一層悪化。沿線住民の外出自粛もあり、それぞれ1万483人(同62・6%減)、299万3807円(同72・6%減)と激減。5月も苦戦したようだ。
 観光路線としての色彩が濃い津鉄。白鳥泰総務課長は「3・11の時よりひどい、先の見通しも立たない状態。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、以前の利用水準にすぐ戻るとも考えられない」と苦境を訴える。
 県や沿線各自治体からの支援に期待しつつも、ファン発案のペーパークラフト付き「未来乗車券」など、現状で可能な企画を展開。任意の寄付を求める動画配信「仮想乗車」には、これまでに90万円超が寄せられている。白鳥課長は「大変ありがたいこと。オンラインや通販で売っている未来乗車券は、県内からの要望もあり、適期に駅での販売も始めたい」考えだ。