4月中旬からオンラインレッスンを行っているファンキースタジアム
ロコスタジオはダンスだけでなくヨガやピラティスなどさまざまなレッスンを配信

 新型コロナウイルスの影響で、さまざまな業種が営業体制の転換を強いられている。弘前市内のダンススタジオもその一つ。屋内でのレッスンや発表会などのイベントが中止に追い込まれるなど、大幅な活動縮小を余儀なくされている。その中でレッスンのオンライン化など、非対面式の取り組みで窮地打開を図っている。自宅に居ながらダンスができる環境を提供することで、運動不足の解消やストレス軽減などを提案。時間や場所の制約なしに受講できるというオンラインならではの利点を生かし、ウイルス終息後にもつながる取り組みとして注力している。
 ◇家でストレス解消、他地域連携も
 オンラインレッスンはウェブ会議システムなどを活用して、スタジオから講師が在宅の受講生に向けてダンスの指導を配信。受講生はスマートフォンやパソコン、テレビなどで受像してリアルタイムでレッスンを受ける。時間内に視聴できない受講生側も、都合に合わせて録画映像を見ることができる。
 ストリートダンスのレッスンを行っている同市の「FUNKY STADIUM(ファンキースタジアム」では、4月中旬からオンラインレッスンを開始。岩渕伸雄代表は「いち早く導入したスタジオが多かった関東圏に比べ、地方では受け入れ環境が整っていなかった」とした上で、ウイルス感染拡大防止の取り組みが長期化するだろうことを受け、配信事業に踏み切った。
 感染拡大防止のため休校が続き、学校行事も中止に。児童や生徒も少なからずストレスを抱える中で、受講生たちからは「ダンスを教わるだけでなくコミュニケーションを取れる機会ができた」と好評を得た。
 レッスン拡充のため、函館市の「FUNKY WORM CULTURE STUDIO(ファンキー・ワーム・カルチャー・スタジオ)」とも業務提携。両スタジオがレッスンを共有することで東北・北海道エリアでは最大となる月150本程度の配信量を実現した。東日本大震災の際には互いに行き来したイベントを通じ、ダンスシーンの活性化を図ったという両スタジオ。岩渕代表は「オンラインで地続きになれば、コロナ終息後の交流も敷居は低くなる」と展望する。
 ◇時間と場所にとらわれない強み
 弘前市の「LOCO STUDIO(ロコスタジオ)」でも5月から本格的にオンラインレッスンをスタートした。タヒチアンやサルサ、ストリートなどさまざまなダンスやヨガ、ピラティス、演武など多様な講習を提供し「3世代で楽しめる」が売りの同所。親子で受講している生徒も多いことから、オンラインレッスンの受講料は1世帯単位にし、クラスも受け放題にした。
 指導において「生徒と会えないことで、当たり前にできていたことができないという難しさを感じている」と三上恵美代表。
 ただ、それ以上に距離や場所を問わないオンラインならではの利点も実感している。「大館市の受講生からは『通いの移動時間がゼロになって最高』と聞いた」と三上貴史マネージャー。ヨガやピラティスなどのクラスでは、運動後にそのままリラックスして就寝できるという、在宅ならではのメリットがあると好評だ。
 引っ越しにより退会せざるを得なかった生徒が再受講したり、県外にファンのいる講師のレッスンなどを通じて、スタジオという場所にとらわれることなく受講生を集められたりするのも大きな利点。三上代表は「ロコスタジオはカルチャースクールとしての面も強い。例えば英語が堪能なインストラクターがいるので、英会話レッスンも始めたり、娯楽になることであればどんどん発信したい」と話す。
 ◇一筋縄でない導入、相互支援も
 指導のきめ細やかさやコミュニケーションの密度で対面指導には及ばないものの、多くの利点があるオンラインレッスン。しかし配信環境を整えるには両スタジオとも「苦労した」と口をそろえる。配信需要が高まったことで関連機器が品薄になり、試行錯誤の中で購入間もなく使い物にならなくなった機材も。スタッフも配信に関する技術や知識の習得に追われたという。
 講師も生徒も足を運べない状況下で、廃業を選択するスタジオもあるという。ファンキースタジアムと業務提携したファンキー・ワーム・カルチャースタジオも、コロナ禍で閉所を検討していた。配信体制を整えたファンキースタジアム側が業務提携を働き掛け、存続に転換。岩渕代表は「導入の手間やコストがあり補償もない。条件をクリアするには大変」と実情を語る。
 ロコスタジオでは、個人でオンラインレッスンを行えない講師の受け皿として、スタジオの配信設備を活用してもらおうと考えている。「活動を続けたいインストラクターと、レッスンを受けたい生徒の仲介役になれば」と三上代表。カルチャースクールの側面を生かし、ダンスやフィットネスに限らず対応を検討するという。
 オンラインとは違った形の非対面式レッスンを試みるスタジオも。弘前市を中心に個人で「STUDIO FOUND(スタジオファウンド)」を主宰するブレークダンサーの吉田光さんは5月から動画でのレッスンを始めた。クラスごとの動画を配信し、生徒は練習映像を返信、それを受け、吉田さんが生徒ごとに指導やアドバイスを加えた動画を送るもの。
 オンライン配信も試行したが、ある程度のスペースが必要になるブレークダンスの性格上、在宅で受講してもらうのは難しく、ビデオでのレッスンにしたという。「何度も見て練習でき、生徒なりの発想や工夫も生まれやすいのでは」と吉田さん。一方で生徒数が増えると動画の撮影や編集に手が回らなくなる難点もある。「この状況でも生徒が成長していける環境を作っていきたい」と苦心している。
 【各スタジオへの問い合わせ】ファンキースタジアム(電話0172―32―8224)、ロコスタジオ(電話0172―55―6473)、スタジオファウンド(電話090―5352―2600)

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