弘前市職員の個人情報流出させた職員の処分について説明する鎌田副市長

 弘前市職員約2700人分の個人情報が流出した事件で、市は31日、流出させた総務部人事課の男性主査(54)を同日付で懲戒免職処分としたと発表した。併せて内部調査の詳細を公表。流出したデータは、職員健康診断管理業務に用いられたもので、担当職員が異動後も閲覧でき、持ち出せる環境だった。一連の調査はこれで終結したが、市の情報管理体制の甘さが浮き彫りになった。
 31日、鎌田雅人副市長、清藤憲衛総務部長、堀川慎一人事課長が市役所内で記者会見した。
 市によると、流出したデータは2017年に人材育成課(健康相談室)の職員が健康診断結果等を入力するため、庁内のコンピューターをつなぐネットワークシステムを使用して同僚からメールで受信、ダウンロードしたもの。この職員が生涯学習課に異動する際にメールで同僚に返送したが、異動先で同期職員らの配属先を確認しようと、メールの履歴から、このデータを取り出した。定年退職する際に、データをパソコンのごみ箱に入れたが、消去はされていなかった。
 その後、男性主査が同課に異動し、この職員のパソコンを引き継いだ。18年5月ごろ、パソコンのごみ箱内にあるデータを見つけて保存。市に報告せずに保持していたという。
 男性主査は19年4月に農業委員会事務局に異動となり、生涯学習課のパソコンから異動先のパソコンにデータを送信。異動先から自宅のパソコンにメールで持ち出した。同12月には、データを自宅のパソコンから東奥日報社の公式サイトに送信し、個人情報を流出させた。
 市の聞き取りで、男性主査は動機について「情報管理に疑問を持ち、調査してほしかった」と話していたという。一方、市は男性主査がデータを入手してから約1年半もの間、市に報告せず、情報漏えいを示唆するメールを市に送ったことなどから、「本人の弁明通りとは考えていない」とした。
 また男性主査が特定の部署への異動を希望していたことや、これまでも匿名で特定の職員を中傷し、人事を批判するメールを市に送っていたことも明らかになり、市は「人事に対する不満が背景にあったのではないか」とした。
 市は29日、市職員懲戒審査委員会(委員長・鎌田副市長)を開き男性主査の処分を決定。31日に本人に言い渡した際、「大変申し訳なかった」と謝罪したという。
 この事件では、異動後も内部データを閲覧、持ち出せる環境があるなど、市の情報管理に不備があることを露呈。これを受け、市は各課で任命された「OAリーダー」が人事異動の際に、パソコンやサーバー上にデータが残っていないか確認するなど、再発防止策に取り組んでいることを説明。鎌田副市長は「市民の信用を大きく失墜させるものであり、改めて深くおわびしたい」と陳謝。櫻田宏市長は「職員一丸となり市民の皆様の信頼回復に全力で取り組んでまいります」と文書でコメントを出した。
 市は男性主査に対する管理監督責任のある上司ら6人を、いずれも31日付で口頭注意処分とした。男性主査はパソコンのごみ箱内に残っていたデータを入手したが、このデータを消去しなかった職員は18年3月末で定年退職しており、処分対象にはならなかった。
 男性主査は今年3月、地方公務員法(守秘義務)違反の罪で青森簡裁から罰金50万円の略式命令を受けた。

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