6月1日に市民を対象にプレオープンする弘前れんが倉庫美術館

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開館を延期していた弘前市吉野町の弘前れんが倉庫美術館が6月1日、プレオープンする。開館を間近に控えた今月30日、館内ではスタッフが展示作品の最終調整を進めるなど準備作業に追われた。同市初の公立美術館で、長きにわたり市民に親しまれてきた煉瓦(れんが)倉庫の“記憶”を現代アートを通じて継承しながら、芸術文化創造拠点を目指す。新型コロナ対策として、入館者の密集防止のため事前予約制を取り入れ、一日の入場人数を制限。対象も15日までは市民に限定する。
 煉瓦倉庫は1900年代に醸造家福島藤助氏により酒造工場として造られた。吉井酒造に引き継がれ、日本初のシードル量産に成功。酒造工場としての役目を終えた後には地元出身のアーティスト奈良美智さんの作品展が催されるなど、長い歴史の中で、多くの市民に親しまれてきた。
 美術館の建築設計を手掛けたのは国内外で活躍する建築家田根剛さん。築100年に及ぶ煉瓦倉庫の耐震性能を高めながら「記憶の継承」と「風景の再生」をコンセプトに改修。従来の煉瓦造りを残しながら、シードル・ゴールド色の屋根が印象的な建物に生まれ変わった。
 開館記念となる春夏シーズンのプログラムは「Thank You Memory ―醸造から創造へ―」。参加アーティストは国内外の8人で、場所と建物の「記憶」に焦点を当てた作品展示に。ナウィン・ラワンチャイクンさん(タイ)は弘前市民へのインタビューを基に、全長約14メートルの巨大絵画と映像を組み合わせて表現。奈良さんはサハリンを旅した際に撮影した写真作品を展示。美術館着工前から改修経過を追った畠山直哉さん(岩手県陸前高田市出身)の写真作品も見どころの一つとなっている。
 プレオープンを2日後に控え、スタッフたちは館内で展示作品の最終調整。広報チームの大澤美菜さんは新型コロナの影響について「いかに安全に開館できるかということを考えた」とし、「安全への対応などから、海外のアーティストと遠隔で最後の調整が進められた作品もあった」と振り返った。プレオープンに向け、「いよいよ皆さまに見ていただけることになった。アーティストが見る弘前を、作品から感じ取っていただき、建物自体や本館最初の展覧会を楽しんでいただきたい」と呼び掛けた。
 観覧者に対し、入館前の検温のほか、マスク着用、手のアルコール消毒などを促すなど新型コロナ対策を徹底する方針で、開館時間の午前9時~午後5時は、30分ごとに20人ずつの入館とする。事前予約が必要で、17日からは対象を県民に拡大(予約は6月3日午前9時から)。電話(電話0172―32―8950)か美術館公式ウェブサイトで予約できる。観覧料は一般1300円、大学生・専門学校生1000円。高校生以下と65歳以上の市民らは無料。