新型コロナウイルスの県内経済への影響について、弘前大学人文社会科学部の桑波田浩之講師は27日、今年度の県内生産額の損失が少なくとも1661億円に上り、県内総生産が約2・1%押し下げられるとの推計を発表した。弘前さくらまつりやねぷた祭りなどの祭り・イベントが中止になった4~9月の期間中、観光客が大幅に減少したと想定して試算。観光関連産業など、ダメージが大きいとされる業種に対象を絞って算出したもので、地域経済全体には、より深刻な影響が及んでいると考えられる。
 県内で緊急事態宣言が発令されていた期間(4月16日~5月14日)を、短期間で広範囲に深刻な影響が与えられた「フェーズ1」、4~9月を、本県の主要産業の一つである観光業が長期的な影響を受ける「フェーズ2」と大別して分析した。
 フェーズ1では、特に影響が大きかったとされる飲食業、娯楽サービス業、宿泊業、商業、道路輸送業の5業種について、1カ月間の生産額が通常の2割まで下がったと仮定。フェーズ2では、2018年の観光客数と1人当たり観光消費額などを元に、中止になった祭りやイベントの入り込み数を0として経済効果を推計した。
 フェーズ2では県内生産額が842億円、県内総生産に当たる粗付加価値は446億円、雇用者所得は309億円がそれぞれ減少になると推測。フェーズ1、2を合わせた経済成長率は、リーマン・ショックの影響を受けた08年度(マイナス6・0%、名目)に次ぐ落ち込みとなり、問題の長期化によるマイナス幅の増大も予想されるとしている。
 桑波田講師は「本県の感染規模は(今のところ)小さいが、厳しい経済状況が続き、回復が遅れることが予想される。中小企業、個人事業者へのダメージが大きい」とした上で、対策として(1)飲食・宿泊需要の喚起(2)農林水産業の強みを生かした在宅需要の取り込み(3)テレワークやオンライン会議を生かした遠隔地への販路開拓―などを提案。同学部の飯島裕胤学部長は「推計値は一切の対策を打たない場合のもので、好転できる数字。未来を見据えた政策、有望産業への先行投資などが求められる」と述べた。
 同大では今後、より広範な部門を対象にした再推計を行う。
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