斉藤まなぶ
准教授

 弘前大学大学院医学研究科神経精神医学講座の斉藤まなぶ准教授(52)らの研究グループが27日、弘前市と弘大が連携して実施している5歳児健診の結果から、自閉スペクトラム症(ASD)の有病率が、これまで国内で考えられていた割合の10倍近い約3%だったことが分かったと発表した。斉藤准教授は「考えていたよりもASDの子どもが多かったという研究結果が、自治体が障害児支援を拡充するきっかけになれば」と期待している。
 同研究科の中村和彦教授らとの共同研究で、成果は14日付の英国学術誌「Molecular Autism」に掲載された。
 斉藤准教授によると、国内の5歳児におけるASD有病率はこれまで0・3%程度と考えられていたが、より厳密な米精神医学会の診断基準が2013年に導入されて以降は地域の全数調査を用いた研究報告がなく、正確な実態が把握されていなかったという。
 こうした中、研究では、市と弘大が市内の全5歳児を対象に13年から行う健診で疫学調査を実施。13~16年の受診者総勢5016人のうち3954人がスクリーニング(ふるい分け)調査に回答し、559人が発達検査を受けた。このうち87人がASDと診断された。スクリーニングや発達検査の非参加者におけるASD数も推計して加えた市内全5歳児のASD有病率は3・22%だった。
 00年以降、米国の先進的な研究ではASD有病率に増加傾向がみられる中、市では13~16年の4年間で顕著な増加が認められなかったことも確認した。
 国際的な基準では女児の約4倍とされていた男児の有病率が1・83倍と少なかったことや、ASDの88・5%が他の発達障害を併発していることも解明した。
 斉藤准教授は、ASDの早期発見・支援に向けた取り組みが進む米国と比較し「日本は支援が遅れがちで研究者も少ない中、こうした研究結果が出たことで国内でも自治体による学習・生活支援につがっていけば」と期待した。
 市では現在、5歳児健診でASDが診断された未就学児向けの通所支援事業や、障害者手帳を所持していなくても利用できる発達支援事業を行っている。5歳児健診の市担当者は今回の研究発表を受け「市として今後どのような支援ができるのか考えるきっかけになれば」と話した。