弘大COIは新しい健診の形を検討するなどしてコロナ禍を乗り越える手だてを講じていく(写真は2018年の啓発型健診の様子)

 健康寿命延伸を目指し多くの企業や大学などが参画する弘前大学COI(中路重之拠点長)が、普及を目指す「啓発型健診(QOL健診)」について、新しい生活様式にも合った「3密」を回避した方法による健診の在り方を模索していることが26日、分かった。国の緊急事態宣言は解除されたものの、新型コロナウイルスによる今年度事業への影響が免れない状況の中、担当者は「こういう時だからこそ新型コロナ収束後に備えた取り組みを展開し、基盤整備に注力していきたい」と強調。県内各地で活動する健康リーダー向けの指導用動画も作成し、コロナ禍収束後に備える考えだ。
 弘大COIによると、今年度は、2005年度から毎年行っている1000人規模の岩木健康増進プロジェクト(岩木健診)の延期を余儀なくされた。県内普及を狙い、5000人を対象に実施予定だった啓発型健診も延期や中止が相次ぐ。啓発型健診の海外普及を狙いベトナムから健康指導者を招聘(しょうへい)する研修事業も延期予定となり、本来の活動にブレーキがかかっている。
 こうした中、コロナ禍収束後を見据えた仕掛けが動き出した。第1弾は、弘前市のひろさき健幸増進リーダーや県内の地域、職場、学校の健康リーダーとして活躍する「健やか隊員」のスキルアップに向けた取り組みだ。住民の健康づくりを支える指導者向けの動画を作り、一部はネットで配信することも検討している。普及を目指す啓発型健診の仕組みや目的、測定方法などについて分かりやすく紹介する内容を目指しているという。
 弘大COI担当者は「各地に広まっている健康リーダーを通じて、コロナ禍収束後に健康づくりを一気に広めたい」と狙いを語る。
 今年度の目玉事業の一つに据えていた、5000人を目標とした啓発型健診については、「3密」を回避した方法での実施を検討している。対象人数が減るのはやむを得ない状況だが、新しい生活様式、仕事スタイルにも合ったような、コロナ禍の中での健診の在り方を研究中で「3密を回避し、測定できる項目に限定するなど工夫した方法を考えたい。効率は下がるかもしれないが、県民の皆さんの健康づくりには貢献できるのでは」(担当者)と強調する。
 外出自粛が広がる中、全国の企業関係者や研究者との会議や打ち合わせの方法も、ウェブを活用するスタイルを取り入れてきた。今月は、運営方針や研究開発などについて議論する弘大COI研究推進機構運営会議もオンラインで開催した。これまで日程調整ができず参加が難しかった研究者も参加しやすいため、今回は参加者人数が増加し全国から約100人が出席。新しいアイデアや次の戦略に結び付くような意見も出るなど議論の幅が広がったという。
 弘大COIは13年度に国の事業に採択され、21年度が最終年度。今年度は総仕上げに向けた重要な年となる。村下公一副拠点長は「残された期間は2年だが、『ポストCOI』という次のフェーズを見据えている。岩木健診も続けていきたいと考えているし、コロナ禍の中でできることを確実に発展的にやっていきたい。今はその準備期間」と前向きに語った。
 中路拠点長は「コロナ禍を契機に、健康づくりも生まれ変わるいい機会だ。新しい生活様式に合わせた岩木健診、QOL健診などの取り組みで短命県返上につなげていきたい」と力を込めた。