西北地域特有の意匠で知られるこぎん刺し「三縞(みしま)こぎん」の文化的価値に着目し、五所川原市教委が今年、市所蔵の2点(三縞1点、四縞1点)の市文化財指定に乗り出したことが分かった。今年度中の指定をにらみ、市教委から諮問を受けた市文化財保護審議会での調査活動が進められている。関係者らは「指定されれば、希少な三縞こぎんの保存や発見の一助となるのでは」と期待している。
 三縞こぎんは、肩から腰にかけてボーダーラインにも似た特徴的な縞が入り、中南地域の「西こぎん」や「東こぎん」とは異なった意匠。藩政時代から明治初期にかけて、現在の五所川原市金木地区など西北方面で農家らが日常的に着用したとみられるが、他のこぎんに比べると現存が確認されているものは少ない。
 雑誌「そらとぶこぎん」(津軽書房発行)第4号で三縞こぎんを特集した編集者の鈴木真枝さんは「収集家でも入手しにくい。私たちも調査したが、西・東が百単位で残っているのに対し、県外にあるものを含めても40点程度だろう」と話し「岩木川の氾濫なども多く生活環境が厳しい地域で、刺し手がなかなか活動できる環境になかった上に、昭和期に中央の人に買われて流出したことの影響もある」と理由を推測した。
 五所川原市が今回文化財指定候補としている2点は、1978年に旧金木町嘉瀬出身の男性から、86年に同町川端出身の男性から、歴史民俗資料として旧町がそれぞれ寄贈を受けたもの。前者は三縞こぎんのスタンダードといえる3本、後者にはより珍しい4本の縞が入っている。市教委は重要な文化財を保護する目的で定めた市条例に基づき、三縞こぎんが指定にふさわしいかどうかを調査、審議するための市文化財保護審議会の組織会を今年2月に発足した。
 こうした動きについて、今年初めに五所川原市内で開かれた三縞こぎんの鑑賞イベントに関わった金木地区の「観光カリスマ」角田周さん(67)は「ハレの舞台でも着用されてきたものにもかかわらず、とにかく地元での認知が薄く評価も進んでいないのが現状。市文化財に指定されれば、地元での知名度の底上げ、ひいては保存活動の一助にもなるのでは」と期待を寄せた。
 一方、弘前こぎん研究所(弘前市)の成田貞治所長も「五所川原の方でも頑張ってくれることで、結果としてこぎん全体の知名度が広がり、その結果としてわれわれも良い流れに乗っていける」と語った。
 現在、市教委事務局による資料の取りまとめなどが進められている。市教委社会教育課の榊原滋高文化係長は「あくまで答申に向けた調査と審議の最中ではあるが、こぎん刺しのブームが到来していることもあり、指定となった場合には良い意味で価値を見直す機会になるのでは」と説明した。

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