大崎晴菜さん

 今年3月まで弘前大学大学院農学生命科学研究科に所属していた大崎晴菜さん(24)=岩手大学大学院連合農学研究科博士後期課程1年=らの研究により、リンゴ園などで広く見られる、ヨーロッパ原産の雑草エゾノギシギシの種子が、同種の葉由来の水溶性化学物質を手がかりに「安全地帯」を認識し、その発芽が促進されることが分かった。
 25日、弘大などが発表した。弘大農学生命科学部生物学科の山尾僚助教、森林総合研究所の向井裕美主任研究員との共同研究で、大崎さんが責任著者。20日には種生物学会の国際誌「Plant Species Biology」に成果が掲載された。
 弘大でエゾノギシギシの研究を続けていた大崎さんは、群生する様子から「エゾノギシギシ同士が互いに生育しやすいような相互作用をしているのでは」と着目。実験では、落葉寸前のエゾノギシギシの葉を2枚の寒天で挟んだものと、比較のため、葉の代わりにろ紙を挟んだものの上にエゾノギシギシの種子を並べた。その結果、葉を挟んだ条件では、ろ紙に比べ種子の発芽率が2倍以上高くなった。一緒に生育していることが多いウシノケクサ、シロツメクサ、オオバコの種子についてもエゾノギシギシの葉を用いて同様の手順で調べたところ、発芽は抑制されるか何も影響を受けないことが分かった。
 これまで、どんな生き物が周りにいるかという生物的環境に応じて種子の発芽が促進される現象は、寄生植物など一部の植物のみでしか知られていなかった。山尾助教は「種子が発芽する環境を選ぶということはこれまであまり認識されていなかった。種子側の反応を見るというのは斬新な視点で、生物的環境に基づいた反応の研究は、これからどんどん盛んになっていく分野だと思う」とし、大崎さんは「ほかの植物も同じ種ごとに集まる特性があり、同じ現象が期待される。いろんな条件、いろんな植物でも反応を調べてみたい」と話した。
 今回の研究ではこのほか、これまでの研究を体系化し、種子の発芽について、促進、抑制、加速、遅延の四つの反応に整理。今後種子の生物的環境の認識能力と発芽反応の進化や多様性についても明らかにしたい考え。

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