2018年9月につがる市の国道101号で車4台が多重衝突し、4人が死亡した事故で、危険運転致死傷(自動車運転処罰法違反)の罪に問われているつがる市森田町大館千歳、無職の被告の男(34)の裁判員裁判の初公判が19日、青森地裁(寺尾亮裁判長)であった。被告は「事故の原因となったのは私で間違いないが、危険運転はしていない」などと起訴内容を否認。弁護側もアルコールの影響で正常な運転が困難な状態ではなく、その認識もなかったとして危険運転致傷罪には当たらないと主張した。
 起訴状などによると、被告は飲酒の影響で前方注視や運転操作が困難な状態で乗用車を運転し、18年9月22日午前1時9分ごろ、つがる市森田町下相野亀山の国道101号で制限速度50キロを大幅に上回る163キロまで加速、前方の軽乗用車に追突した後に対向車線の軽乗用車に衝突した。追突された車は衝撃で進路左側の防雪柵にぶつかり、対向してきた別の軽乗用車に衝突したとされる。この事故で男女各2人が死亡し、男性1人が右足骨折などの重傷を負ったほか、被告の同乗者2人も肋骨(ろっこつ)骨折などのけがを負った。
 争点はアルコールの影響で正常な運転が困難な状態であったかと被告がその状態を認識していたか。
 冒頭陳述で検察側は被告は運転前に缶ビール6本とハイボールを5杯以上飲酒し、口数が減ってろれつが回らず、眠いと発言していたと指摘。運転開始後にコンビニに立ち寄った際に肘を商品棚にぶつけ、体をふらつかせていたことなどから「事故当時、正常な運転が困難な状態だったと認識していた」とした。
 一方で弁護側は普段と変わらない飲酒量で、事故現場までの約9・9キロの距離を踏切や信号、狭い道などの状況に応じて運転していたことや途中で寄ったコンビニの現金自動預払機(ATM)を正確に操作できていたこと、明らかなふらつきや泥酔と指摘されておらず、正常な運転が困難と認識していなかったなどとして無罪を主張した。
 検察側の証拠説明では、被告の車に同乗した男性と右足骨折などの重傷を負った男性、事故を目撃し、110番した男性らの供述調書が説明された。同乗した男性は、体感では最初時速80キロぐらいで走行していて途中で加速したが、助手席の男性と会話していて意識があったため、何か考えがあって加速したと考えたと証言。その後速度を落とすよう注意し、返事があったが、速度が変わらなかったため、再び声を掛けようとした際に前方の車と衝突したという。
 右足骨折などの重傷を負った男性は「夜間にこのスピードで走行するのは異常だし、そもそも飲酒して運転してはいけない」とした上で、同僚の男性が死亡した悔しさや自身も重傷を負ったことから「できるだけ長く刑務所に入っていてほしい」と怒りをにじませた
 20日は事故現場で対応した消防隊員らの証人尋問が行われる。
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