複合経営による農家の所得向上を進めている中泊町は、拡大次第で「高収益作物」になり得る品目としてタマネギに着目。今年度は新規参入と作付面積拡大に向けた試験事業として、専用農機のリース費用を町が負担する補助事業を独自展開している。若手生産者も「試験を通じて良品率を向上し地産地消の拡大につなげたい」と意欲的で特産化へ期待感が膨らんでいる。
 同町中里地区の主要作物はコメだが、米価や気候が不安定な中、水稲一辺倒での経営は難しくなりつつある。水稲栽培の繁忙期と重ならずに生産者を後押しできるような品目を模索する中、昨年度は町主体でタマネギの試験栽培に挑戦。30アールで17トンを収穫し、県内資本の著名ラーメン店や産地市場などに出荷。商品化率も75%となかなかの成果を残した。
 ただ、タマネギ用の農機は導入費500万~600万円と高額なため、参入に二の足を踏む生産者が多いのも現実。そこで町は今年度、独自の補助事業実施に踏み切った。
 新規作付けだと10アール超、それ以外は30アール超の町内の担い手と担い手候補者に対し、農機のリース費用を町が全額負担する。作付けに強い意欲を有していることなども条件に付して募集したところ、新規参入2人、経験者1人の計3人が参加することになった。
 この事業を利用する生産者らが1日に今年度の作業をスタート。元は水田だった約70アールの畑で作業し、移植機を走らせながら、次々と苗を植え付けた。収穫は夏場、稲作の繁忙期と重ならない時期に行われる予定。
 唯一の栽培経験者で今年度は作付面積を増やし、新規参入者への助言も行っているという坂本譲太さん(33)=田茂木=は「地元で需要がある野菜だし、すべて機械で栽培や収穫ができるということは、大規模化の可能性も大きいのでは」と指摘。「まだ発展途上だが、この土地に合った栽培技術を確立し、地産地消の部分でもお役に立てれば」と意気込んだ。
 町農政課農業支援係の小寺隆斗主事は「中泊はコメどころではあるが、他の作物にもチャレンジし、増やしていかないと先は厳しい。何とかタマネギの普及を促し、生産者の所得向上につなげたい」と語った。農業産出額で毎年東北トップをひた走る本県だが、タマネギに関しては目立った産地は少なく、試験事業の行方は注目を集めそうだ。

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