離れを飾る芸術的なステンドグラスなどをカラーで紹介

 中泊町と中泊町教委は同町尾別にある旧家「宮越家」の住宅や資料の保存・活用に向けた宮越家住宅・資料保存活用検討委員会(今井二三夫委員長)の検討内容を基に、保存活用計画を刊行した。100年前に制作された大正ロマンの雰囲気あふれるステンドグラスの特徴や、9代当主・宮越正治(1885~1938年)と中央の著名文化人との交流を示す書簡類の調査状況も紹介。多面的な文化的価値を示す内容となっている。
 町は離れや庭などが100年前後の歴史を有する宮越家の住宅・資料の文化的価値を認め、2018年から保全活用に向けた環境整備を進めている。19年度は整備の基礎となる調査や、事業成果をPRするフォーラムなどを実施。計画書はこれまでの事業のまとめとして編さんした。町教委の担当者は「今後も続く調査の節目にふさわしい、羅針盤とも言える内容」とした。
 全9章で構成。このうち第3章では、宮越家の離れを美しく彩るステンドグラスについて説明。その制作に当たっては、1920年建築の離れの施主であった正治が、当時を代表するステンドグラス作家の小川三知と緊密に交流し、詩歌の世界に遊びつつ価値観を共有。優れた素材を用い小川が腕を振るったことを紹介している。
 第9章では書簡類の予備調査結果を紹介。差出人に木村武山、横山大観といった日本画の大家が並び、贈答品へのお礼や作画依頼への返答と思われる内容も見られ、正治が画家本人と直接やり取りし作品を入手していた可能性があるという。
 文人では小説家の尾崎紅葉、幸田露伴、歌人の与謝野寛(鉄幹)の名があり、交流の幅広さがうかがえる。庭園についても景石の配置状況といった特徴から、津軽地方で盛んな作庭流派の中でも発見例が少ない「初期大石武学流庭園」である可能性が非常に高いという。
 こうしたことから、計画の結語では「宮越家住宅自体が重要な文化的価値を有する」とした上で「長期的な視点かつ持続可能な方法で文化財指定や保存整備を進めていかなければならない」と指摘している。
 今年度は秋に期間限定公開が行われる計画で、取材に対し今井委員長は「調査はまだ半ばで、公開もにらんで分かりやすい成果を公表した一方、手付かずなものもある。所有者の宮越寛さんがとても協力的なことは幸いであり、掘り下げ続けたい」と意欲を示している。