新型コロナウイルスにかかる緊急事態宣言が解除になった本県だが、経済回復への道筋は見えないのが現状だ(写真は弘前市土手町)

 本県など39県で14日に解除された、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言。景気浮揚に向けた一つの区切りとして捉えられそうだが、新型ウイルスを巡る状況は依然として予断を許さない状況にあり、経済団体の間では「本格的な経済活動再開にはまだ踏み込めない」との見方が強い。津軽地域の事業者からは「解除前と変わらない」との声が聞かれ、期待感が薄いのが実情だ。
 弘前商工会議所の清藤哲夫会頭は「宣言解除の緩みから感染が生じることがあってはならない」とした上で「細心の注意を払った上で経済活動を徐々に戻していかなければならない」とし、宣言解除を経済活性化へのスタート地点と捉えた。県中小企業団体中央会の櫛引利貞会長も「宣言解除で一段階、緩和された気持ちにはなる。楽観視できないが経済も同様では」と述べた。ただ「県の休業要請(4月29日~5月6日)が明けた後も、自粛生活の延長線上にある感。市民マインドが“コロナ型”になっている」と指摘し、真の意味での経済回復には長時間かかると見ている。
 弘前市で服飾店「iconam(イコナ)」を経営する三上慎太朗さん(34)は「宣言解除はいいことと思うが、人口の多い都市部と違い、地方ではV字回復は望めない」と話す。消費増税と暖冬で苦戦していたところにコロナ禍が重なり、売り上げの減少が続いている。外出自粛が呼び掛けられたことで服飾需要そのものが落ち込んだのも大きい。「服飾にお金が回るのは最後。解除を契機に活気が出てほしい」としながら「落ち込みのスタートは都市部と同じでも回復には時間がかかるのが地方。県や市には継続的な独自の経済政策を求めたい」と注文した。
 五所川原市のホテルサンルート五所川原の寺田明代代表取締役は「解除前と変わらないのでは。現段階では県外からの予約がなく、見通しが付かない状況」との受け止め。引き続きの従業員のマスク着用、消毒液の設置箇所も増やすなど、感染防止対策を徹底し、朝食はバイキングに代えて弁当形式を検討。「宴会も席の間隔を開けるなど、対策をした形で受け付けている。この状況なので一つ一つの予約を大事にしながら営業していきたい」とした。
 黒石市の黒石やきそば専門店「すずのや」では県の休業要請が明けた7日から営業を再開したが、店主の鈴木民雄さん(71)は「客が1日に1人しか来ない時もある」と肩を落とす。宣言解除への期待感も薄く「一気にお客さんが増えることはないだろう。しばらく自粛の雰囲気は続くのではないか」と話した。
 櫛引会長は「中小、零細企業は業種により温度差はあるが、総じて大変な経営状況。行政にはその実情をつぶさに見てもらい、その上で適切な援助、支援をしてもらいたい」と要望。清藤会頭は「現状では国や県、市がどう動くのかが見えない。行政とも情報を共有し、連携していきたい」と強調した。