新型コロナウイルス感染拡大の影響で、弘前市内の事業所でもテレワークや在宅勤務が広がっている。人と人との接触機会を減らすことで感染リスクを抑えようと取り組んでいるが、多くの企業は導入時点はもちろん、実施の最中にも試行錯誤が続く。取り扱い業務によっては経費がかさむケースもあるが、感染症対策と働き方改革推進がかみ合って業務効率化が進んでいる事業所もあり、導入を検討する企業も増えているようだ。
 弘前市のやまと印刷(秋元清仁代表取締役)では4月13日から段階的にテレワークを導入。現在は社員11人中、印刷データ制作などを行う6人が在宅勤務になっている。業務用のパソコンは社内のものを貸与したが、ウェブカメラなど一部の機器については、感染症拡大の影響で需要が高まり供給が追いついていない状況。入手できず個人のスマートフォンなどで代替しているという。
 導入に当たって、武越美知宏企画部長は「初めてのことで手探り。遠隔でコミュニケーションを取りながらデータや情報のやりとりをするのに、どういったツールを使えばいいかは試行錯誤だった」と話す。当初は1週間をめどに試行するだけの予定だったが、状況の好転が見通せず、当面は継続することにした「前々から産休に入るスタッフらの勤務などが課題で、テレワークの導入も検討していたところ。今回の事態で経験を積めているので、コロナ禍が収まった後でも現状の体制は残しておきたい」としている。
 同市のITラボ(新山則和代表取締役)では3月20日からテレワークを導入し、4月上旬までに全従業員3人を在宅勤務に切り替えた。ウェブサイト制作などを手掛けるIT企業だが、新山代表は「テレワークとの相性がいいと思ったが逆だった」と苦笑いする。
 同社はコンピューターシステムの保守管理業務も行う。テレワークの際には、セキュリティーを担保しながら本社の端末に接続する必要があるため、専用の機材を従業員の自宅にも設置しなければならなかったという。「ハード面での支出は誤算だった」としながらも、テレワークについては「社員の感染リスクを下げるだけでなく、通勤や雑務の時間がそぎ落とされることで、作業効率も上がった気がする」と述べる。「就労時間が無意識に長くならないよう、こちらで終了時刻は意識付けさせるようにしている。大変なこともあるがメリットの方が大きいと感じている」としている。
 NTT東日本青森支店には4月7日に緊急事態宣言が出されてから自治体、企業から感染症対策関連で約30件(4月28日現在)の相談が寄せられており、この半数はテレワークに関するものという。自宅から社内のサーバーにアクセスできる環境の構築、テレワーク勤務者の勤怠管理など課題が明確な相談もあるが、最も多いのは「何をしてよいか分からない、何をすればいいか教えてほしい」という相談だという。
 同店の担当者は「テレワーク導入に当たり、何から始めればよいか悩んでいる事業者が多いように思う。基本から説明するので、まずは問い合わせてほしい。現在の感染症対策だけでなく、今後の働き方改革にもつながるので検討を」としている。

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