新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が延長された中、県は遊興施設や大型商業施設などに対して行った休業要請の解除を決めた。要請対象店舗や休業協力した飲食店の店主らからは、予定通り営業を再開できることに安堵(あんど)の声が聞かれた。同時に「コロナ禍で引いた客足はすぐに戻らない」と懸念を示す事業者も多く経済停滞が続く中で新たな支援策が求められている。
 弘前市鍛冶町でバーを経営する男性(54)は「不安だらけで手放しでは喜べないのが本音」と話す。「休業要請期間を延長しないこと自体はありがたい。店も客も後ろめたい部分がなくなる。だが再開できるといってすぐに人出が戻るわけではない」と指摘。鍛冶町ではもとより休業要請の対象店舗が多いが、要請以前から自主休業する店舗が少なからず見られ、人通りもまばらだった。「準備はするが、7日以降に店を開くとしても通常営業は無理」とし、しばらくは体調を確認できる常連客のみの予約制で営業する方針だという。「仕事が減ってしまって家計が大変だった」と話すタクシー運転手の男性(57)も「また鍛冶町に活気が戻ればいいが、一度自粛してしまえばなかなか戻らないかもしれない」と懸念を示した。
 同じく大型連休中はシャッターを下ろした飲食店が目立つ五所川原市の中心街で、テークアウトメニューをそろえ営業を続ける喫茶店の男性店長(31)は「“密”を避けなければならない状況は変わらず、大口の会社需要は戻りにくい。今後も回復の動きは鈍いのではないか」と推測。国や行政に対しては「今後の対応を事業者が見通せるような支援の在り方を求めたい」と希望した。
 黒石市で居酒屋を営む男性(65)は「県内は爆発的な感染となっていないので休業要請や時短営業がなくなることは経営者の立場としてはありがたい」と言う。4月は宴会がすべてキャンセル、以前から提供していたテークアウトメニューの注文は多くなったというが、それでも売り上げは大きく落ち込んでいた。「7日からは感染予防対策をしっかりした上で通常の形態で営業する予定。以前のような客足が戻ってくれればうれしい」と期待していた。
 さくら野百貨店は、4月29日から青森本店、弘前店など4店舗を臨時休業していたが、5日の三村申吾知事の発表を受け、7日から営業時間を短縮して再開する。同社経営計画課の石田早希課長は「再開は予定していたが自社だけでは判断できかねること。明確に発表してもらって安堵している」と話す。例年であれば大型連休は、帰省客の買い回りや母の日など季節性商品の売り上げが期待できる時期で「お客さまに提案できる商品が多かっただけに残念」とした。営業再開後は催事を中止にするなど過度な集客は控え、館内の感染症対策を十全にしていくという。
【写真説明】県は休業要請を延長しない方針を示したが、事業者からは先行きを不安視する声が聞かれた(写真は弘前市鍛冶町)