つがる市出身のライトノベル作家葛西伸哉さん(埼玉県在住)は今年、作家活動30年目に突入した。ファンタジーやコメディー、バイオレンスなど幅広いジャンルを手掛けてきたほか、昨年度まで専門学校で講師として若手育成にも尽力。はやり廃りの激しいライトノベル界を生き延びてきた西さんは「単に自分に務まる仕事を続けた結果だが、できれば生涯現役を目指したい」と意欲を見せた。
 葛西さんは弘前大学卒業後、地元で就職したが「勤め人人生になじめなくて、(自分の好きなことを)何かやろう」と初めて長編小説を書き上げ、1991年に「今のライトノベルにつながる雑誌を発行していた」(葛西さん)という富士見書房が主催する新人賞に作品を投稿。見事佳作に選ばれ、作家活動をスタートした。
 9年間は兼業作家として仕事の合間に作品を仕上げていたが「好きなこと、得意なことで生活したい」と2000年に上京し、専業作家になった。当時はライトノベルという言葉が広く浸透し始めた頃とされ、葛西さんは「上京後の数年は新たな出版レーベルの創刊ラッシュで、書き手が足りない状態だった。なので人づてに仕事の話がつながるケースが何度かあった。昔の人との縁は今も生き、助けられている」と振り返る。
 今まで執筆してきた作品は約30。風景や服装、生活描写、時代背景などにリアリティーを持たせるために「取材、情報収集を心掛けている」と語る葛西さん。
 つがる市と青森市を舞台にした「世界が終わる場所へ君をつれていく」を書く際には、地元に暮らす知人に風景写真を撮ってもらい、最新作の「封印魔竜が最強の仲間たちと数千年後の世界で無双するようですよ?」シリーズでは、主人公たちの拠点が北極の火山島のため、北極圏の気象や獲れる魚を調べるなど、細部にまでこだわる。
 04~20年3月には東京の専門学校の講師として、ライトノベル作家を目指す人たちに自身の手法や体験を伝えたほか、小説の流行や出版のブーム史についても講義。教え子がデビューを果たすこともあった。
 葛西さんは、長くライトノベル作家を続ける“こつ”について「あらゆることに興味を持って、インプットすることを常に意識している」と語り「今は昔と違い、地方でも資料調べや読者、出版社とのコンタクトは容易。ライトノベル作家を夢見る人には、あれこれ考える前に『とにかく書いて、世に出すこと』を一番にしてほしい」と、アドバイスをした。