青森市の劇団「渡辺源四郎商店」は、新型コロナウイルスの感染拡大防止により全国的に演劇の中止が相次ぐ中、自宅でゆっくりと観劇気分を味わってもらおうと、声や音楽、効果音で構成するオーディオドラマ「居酒屋じぱんぐ~みーちゃんの行方~」を特設ホームページで有料配信している。企画者で作・演出を務めた工藤千夏さん(57)は「自粛でやるせない気持ちの中でも、希望が持てる内容になっている」と出来映えを語った。
 工藤さんは同劇団の運営会社代表を務めるほか、自身が主宰する演劇ユニット「うさぎ庵」の劇作、演出も担当している。
 4~5月に東京都と本県で、渡辺源四郎商店とうさぎ庵の公演を予定していたが、コロナの影響で中止となった。工藤さんは「いきなり『書かなければ』という思いに駆られ、自宅で聴くオーディオドラマを思い付き、脚本を3日ほどで一気に書き上げた」と振り返る。
 オーディオドラマに出たのは、公演に出演予定だった東京と本県の俳優ら。「会わない方法」で制作するために、インターネットのビデオ会議アプリで稽古に励み、せりふはそれぞれが自宅などで録音、音響担当者に編集してもらった。
 「まさに今のこの日本」(工藤さん)を舞台にした本作は、4月28日から配信開始。1日に1話ずつ公開し、最終日の6日に全8話をまとめた総集編と、台本のPDFデータを出す予定だ。出演した青森市の我満望美さん(23)は、「久々に芝居ができたのがうれしく、(アプリを使っての稽古など)今までにない経験をでき、楽しかった」と新たな手法の感触を語り「私たちの声と聴取者の想像力とで一つの作品となるので、じっくりと聴いてほしい」とPRした。
 工藤さんは「オーディオドラマは役者の個性や力量が伝わり、劇場で見る芝居のクオリティーを提供できる」と魅力を述べつつ「一日でも早く、みんなで集まって稽古し、生で芝居を披露できる日が戻ってほしいが、それもいつになるか分からないので、今後もこの状況下で、われわれができることを模索していきたい」と“演劇のともしび”を絶やさない意志を示した。
 渡辺源四郎商店の特設HP(https://nabegenhp.wixsite.com/izakaya-jipangu)で1話(約10分)につき500円、総集編(約1時間)は3000円、台本は1000円で販売。データは無期限でダウンロードできる。8日から総集編のCD、紙媒体の台本も特設HPから購入できる。
※詳しくは本紙紙面をご覧ください。