県外客の利用自粛を呼び掛ける張り紙が掲示されている弘前市内の大衆浴場

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛要請で「県外ナンバー」に厳しい視線が向けられている。弘前市内では県外ナンバーの通行車両を「観光客が来ている」と不安がる市民も多く、感染リスクを下げようと県外客による利用を制限する店や施設も出始めた。一方で、転入などで地元のナンバーを付けたまま暮らす市民もおり、「観光目的だと思われているようで外出が怖い」といった声も聞かれる。
 「他県ナンバー 八戸ナンバー レンタカーのお客様は入店拒否致します」―。弘前市内のラーメン店が4月27日、店の駐車場入り口にこのような看板を立てた。「お客さんが県外ナンバーの車を怖がっていたので何とかしたかった」と男性店主。新型ウイルスの感染拡大を恐れる地元利用客への配慮からの措置だったという。
 ただ県内で多数の感染者が確認されている八戸市や十和田市を管轄する「八戸ナンバー」を含めたことで、インターネットを中心に差別的だと批判が続出。いわゆる「炎上」状態となった。
 苦情を受け28日に看板を撤去したが、今でも1日に数十件ほど無言電話や非通知電話がかかってくるという。営業時間中も電話が鳴り続け、深夜に着信があることも。男性店主は「差別と捉えられる表現になってしまい申し訳ない」と反省しつつ、続く嫌がらせに「人が死ぬウイルスだと分かってほしくて強い口調で書いたつもりだったが…」と声を震わせた。
 同市内の大衆浴場も28日から「青森県外のお客様はご遠慮願います」との張り紙を入り口に掲示している。地元利用者から「県外の客が来て感染が発生したらどうするのか」と指摘を受けて対応した形だ。
 休業も検討したが、おかみは「常連さんから休まないでとの声もいただいた。公衆衛生を保つという使命感でも営業を続けている」と語る。当初は県外ナンバーの利用を制限する張り紙もあったが「地元に住んでいる方もいるので県外からのお客さんを規制することで統一した」という。
 車のナンバーは住所地に合わせて変更するよう法律で定められているが、県外ナンバーのまま過ごしている市民も少なくない。
 昨年11月に市内へ転居してきた会社員女性(20)もその一人。ただ最近はスーパーなどに買い物に行ってもプレートを横目で見られているといい、「市内在住なのに居づらさを感じる」と吐露する。
 感染拡大防止のため、不要不急の外出や移動の自粛要請が強く呼び掛けられているこの大型連休。弘前市内は、全国有数の桜の名所・弘前公園の周辺を中心に観光目的とされる県外ナンバーの車も散見され、感染リスクを恐れる市民は少なくない。関係者は「市民が過敏になるのも無理はないが、うつさない、うつらないという互いへの思いやりの気持ちを持って冷静に対応してほしい」と呼び掛けている。