新型コロナウイルスの飛沫感染防止に向け、地元企業が製造したアクリル製カバーを導入した弘大高度救命救急センター

 弘前大学医学部附属病院高度救命救急センターは30日、新型コロナウイルスの飛沫(ひまつ)感染防止に向け、肺炎患者らに人工呼吸器を装着する際に患者と医療従事者を隔てるアクリル製カバーを導入した。感染症拡大に伴う資材不足の影響でカバーの在庫不足が続く中、医工連携を進める県の仲介で地元企業が製造から納品までスピーディーに対応。同病院の集中治療室(ICU)などでも導入を検討しており、今後の医工連携推進にも期待がかかる。
 同センターでは毎月一定数の肺炎患者に対応しているが、大半は新型ウイルス感染の有無が分からないまま救命措置に当たるため、早急な飛沫感染防止対策が必要とされていた。
 こうした状況に対応しようと、同病院の後藤武臨床工学技士長が4月中旬、欧米や国内の感染拡大地域の医療現場で導入が進むアクリル製カバーの調達を考え、国内メーカーに相談。しかし新型ウイルス感染拡大の影響で材料のアクリルが不足し、納品まで1カ月はかかる状態と説明を受け、断念した。
 後藤技士長は、県臨床工学技士会副会長として県が取り組む「青森ライフイノベーション戦略」の医工連携に携わっていた縁から、22日に県へ「早急にカバーを調達したい」と相談。県と21あおもり産業総合支援センターを介し、精密機器の製造を手掛ける五所川原市の「HIG」(樋口真彰代表取締役)を紹介され、翌23日の打ち合わせを経て、29日にカバーが完成した。同社でもアクリルは在庫不足だったが、残っていた端材で製造することができたという。
 カバーは約50センチ四方の立方体で、あおむけにした患者の上半身を覆うように設置するもの。医療従事者が患者に人工呼吸器を装着する際、両腕を通す直径約12センチの穴が開いている。
 30日は樋口代表取締役らが同病院にカバーを納品。同センターに持ち込み、医療従事者がマネキンに人工呼吸器を装着するなどして使用感を確認した。医療従事者からは「腕を通す穴をもう少し広げてほしい」「人工呼吸器の管を通す小穴があれば」などの意見が上がった。
 後藤技士長は「スタッフの間で感染リスクへの不安が高まっていた中、スピード感のある対応をしていただきありがたい」と感謝。後藤技士長によると、集中治療部や手術部からもカバー導入の要望があり、集中治療室(ICU)や手術室への導入も検討しているという。
 樋口代表取締役は「わが社もまだアクリルは不足しているが、正式に要望があれば今回聞いた現場の声を踏まえ、改良したものを作っていきたい」と話した。