新型コロナウイルスが農家民泊にも影響を与えている。国内で感染者が出始めた2月以降、県内で予定されていた農家民泊のキャンセルや延期が相次いでおり、延期分については再延期になる状況も出ている。関係者からは副業収入や農繁期の労働力が確保できない状況に対する不安や、廃業を懸念する声が聞かれる。
 「予定していた受け入れが延期され、さらには時期未定の再延期になった」。農家民泊を行う平川市の農業生産法人「グリーンファーム農家蔵」の佐藤正彦代表取締役は現状を語り、声を落とす。
 同生産法人は国内外からの宿泊申し込みを集約し、同市や弘前市黒石市藤崎町など近隣市町村の会員農家約120戸に宿泊者を振り分ける。宿泊者に農作業体験などを提供して農村生活を楽しんでもらう代わりに、同生産法人を通じて農家は体験料などを得て収入の一部にしている。
 例年5月は、修学旅行の受け入れが集中する時期。今年も4月下旬~6月上旬に20の中学校(約2000人)を受け入れる予定だったが、感染者増加を機に7月に延期された上、終息見通しが立たない状況から、時期未定の再延期となった。
 昨年の弘前さくらまつりとねぷた運行の時期には計約200人のインバウンド(訪日外国人客)が訪れた。農家の所得に占める民泊収入は大きくないが、農繁期には労働力として期待していた面もあり、キャンセルや延期が続けば、影響は小さくない。
 さらに入国制限により外国人実習生が確保できず、生産現場では人手不足も課題になっている。佐藤代表取締役は「所得や労働力を確保したいが、終息が見通せず苦慮している」と困惑。農家民泊を廃業するとの声が今後出てくる可能性に懸念を示す。
 農家民泊を行う394施設に県が聞き取りした結果、4月17日まであったキャンセルは533人。今年度は国内外33校(4030人)の教育旅行の予約が入っていたが22校(2458人)が延期、残り11校(1572人)も実施未定となり、先が見通せない状況だ。
 昨年度の農家民泊の利用者数は、インターネット予約や本県独自の体験メニューなどが奏功し、過去最高の7001人に上った。県構造政策課は感染が終息すれば宿泊者が戻ってくると予想するが、農家民泊を営む農家の高齢化が進んでいることから「緊急事態宣言や感染が長期化すれば、農家民泊をやめる農家が出てくるかもしれない」と危惧している。
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