新型コロナウイルスが本県基幹産業にも暗い影を落とそうとしてる。感染拡大防止のあおりを受けてリンゴ関係機関の総会中止などが相次ぎ、生産者が黒星病防除をはじめとする薬剤散布の適期について情報共有する場が激減。今月に入ってから生育状況が一変し、散布回数を増やす必要性が生じていることから戸惑いも広がっている。県りんご協会は「黒星病は数日防除が遅れるだけで手遅れとなる可能性がある」と危機感を募らせており、24、25日ごろに追加散布するよう呼び掛けるなど、初期発生抑制に向け対応に追われている。
 今年は記録的な暖冬少雪の影響で、当初はリンゴの生育が大幅に早まっていた。県産業技術センターりんご研究所(黒石市)によると、主力品種の「ふじ」は平年より11日早い3月29日に発芽が確認され、4月中の開花が見込まれていた。ところが今月8~17日の平均気温が平年より1~3度ほど低く推移し、展葉日は6日早い4月13日になるなど、生育の鈍化が見られた。
 今後の平均気温が平年並みで推移した場合、開花は5月4日前後と予想される。展葉から1週間後ごろと開花直前の薬剤散布の間隔が2週間程度空くことから、県「攻めの農林水産業」推進本部や県りんご協会などは24、25日ごろの追加散布を呼び掛けている。
 しかし、周知徹底には至っておらず、同協会の工藤貴久技師は「生産者も散布時期が分からず混乱している」と話す。背景には新型ウイルスの感染拡大を受け、各種会合を中止せざるを得なくなったことがある。
 同協会では毎年この時期、津軽地方を中心に60~70支会の総会に職員らを派遣し、防除について生産者と情報交換したり、生育状況に合わせて助言したりしている。ところが今年は半数近くの総会が中止となり、支会長会議や同協会定時総会も自粛に追い込まれた。「生産者と密に連絡できていないため、各園地を回って小まめな指導をしている」と工藤技師。防除体制の万全を期すため、17日からは広報パトロールも展開している。
 こうした対応に生産者からは歓迎の声が上がっている。弘前市原ケ平のアップルロード沿いに園地を持つ小林政貴さん(48)は、農協青年部の集会や農家の寄り合いが自粛となり「情報共有できる場がなくなってしまっていたので、本当にありがたい」と感謝。同地区では昨年、黒星病が発生しており、不安を募らせる生産者も多いという。
 工藤技師は「リンゴの病気に関することはすぐ問い合わせて行動に移してほしい。黒星病は初期発生をいかに抑えるかが大切」と強調。黒星病予防を徹底するため、同協会(電話0172―27―6006)で問い合わせに応じている。
【写真説明】生育状況の急変に伴い、県りんご協会の職員が各園地を訪ね生産者に黒星病防除を指導している(写真は17日の広報パトロール)